開発の過程では、冷却性能と価格のバランスが最大の課題となった。三上さんは「高性能な機器を採用すれば、より効率的な冷却が可能だが、価格が高騰してしまう。一方で、手頃な価格を維持しつつ、いかに効果的な冷却を実現するかが焦点だった」と振り返る。
この課題を克服するため、開発チームは古典的な冷却方法に着目。氷と塩を入れて、あとは電動でくるくる回すだけ。アイデア自体は化学に詳しい人からすると当たり前の方法に感じられるかもしれないが、これにより、コストを抑えつつ効果的な冷却を実現できた。
同製品の特徴は、その急速冷却能力と使いやすさにある。5分で氷点下まで冷却できるという性能を低価格で実現したことは、家庭用製品として珍しい。販売状況は同社の想定を大きく上回り、発売直後には社内の在庫がなくなった。現在は店頭販売分のみという。
特に広告を打っていないにもかかわらず、ヒットを記録した背景には、SNSでの反響が挙げられる。「YouTuberの方が購入して使用レビューを公開してくれたほか、他のSNS上でも面白い、試してみたいといった声が広がった」(三上さん)
さらに、製品の使用感にもこだわった。氷を入れて、缶が回る様子は理科の実験のような楽しさがある。この体験的な要素も、魅力のひとつだ。同社は、今年の記録的な暑さに加え、「涼」を求める消費者心理にマッチしたこと、製品自体の性能と使用時の「理科の実験」のような楽しさがSNSでの拡散につながったと分析する。
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