日本一短い航空路線が廃止 「たった10分」のフライトがもたらしてきたものある地方交通の終わり(3/5 ページ)

» 2024年07月30日 06時00分 公開
[伏見学ITmedia]

最短フライトならではの大変さも

 那覇空港に着くと、すぐさまRACのオフィスへ。同社乗員部 客室乗員室主任の天河千晶さんにインタビュー取材をするためだ。

 天河さんは2010年1月入社して以来、一貫して客室乗務を担当。数年前には教官として後進指導の役割も担っていた。南大東〜北大東には累計260回以上は乗務しているという。

琉球エアーコミューター 乗員部 客室乗員室主任の天河千晶さん

 まず尋ねたのは同路線での業務内容。最短フライトだからといって特別な仕事が発生するわけではないが、他路線との違いとしては、シートベルトのサインが出発から到着まで点灯したままであることや、飲み物のサービス提供がないこと。三角運航路線は客室乗務員一人による“ワンオペ”だったが、これはRACの全路線に該当する。「日ごろから慣れていて問題ない」と天河さん。

 だからといって、南大東〜北大東は業務負担が少なく楽なのかといえば、決してそうではない。離陸から着陸まで約10分間しかないため、息つく暇はなく、逆に慌ただしくしているそうだ。

 この路線に初めて乗る客の反応で多いのは、「離陸後10分で着きます」とアナウンスすると、笑いや驚きの声が起こること。確かにここでしか聞けないアナウンスだろう。ただし、天候不良などには20〜30分かかることもある。その時は「今日はちょっと遠いなと感じますね」と天河さんは述べる。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

SaaS最新情報 by ITセレクトPR
あなたにおすすめの記事PR