日本一短い航空路線が廃止 「たった10分」のフライトがもたらしてきたものある地方交通の終わり(2/5 ページ)

» 2024年07月30日 06時00分 公開
[伏見学ITmedia]

フライトが3分間だった時代も……

 翌日の午後、いよいよ南大東空港から北大東空港へと飛び立つ時が来た。DHC-8-400カーゴコンビに意気揚々と乗り込む。ほぼ満席だ。7月の便は連日キャンセル待ちが続いているという。

搭乗待合室から飛行機までは徒歩で向かう

 客室乗務員から離陸のアナウンスがあり、プロペラが高速回転する。飛行機はみるみるうちに加速し、あっという間に機体は浮上した。離陸しておよそ1分後に車輪が格納されて、その時にはもう北大東島が眼前に迫っていた。北大東空港の滑走路も肉眼で確認できる。

車輪が格納された直後には北大東島が見えた
滑走路をはっきりと望むことができる
北大東島を旋回して着陸態勢に

 このまま空港へ向かうのかと思いきや、北大東島をぐるりと一周してから着陸した。手元の時計を見ると、本当に10分弱のフライトだった。

 以前は定員39人の「DHC-8-Q100」という小型飛行機だったため、ダイレクトに空港に入れた。天候にもよるが、その時の最短フライト時間は3分だったというから驚きだ。2018年2月以降は全機がDHC-8-400カーゴコンビになったことで、飛行機の速度が増したため、安全な着陸に向けて上空で態勢を整えるなどの準備が必要になった。そのための旋回だったわけである。

「DHC-8-Q100」(提供:琉球エアーコミューター)

 到着後は北大東空港の建物外に出ることはなく、搭乗待合室で20分ほど待ち、先ほどと同じ飛行機に再び乗り込んで那覇へと戻った。こうして日本一短いフライトの旅はあっという間に終わった。

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