コンタクトセンターは顧客満足度を左右するだけでなく、商品やサービスの継続や購入に大きな影響を与える部門だ。また、顧客からの生の声を聞ける貴重な接点であり、昨今急速に効率化、DXが進んでいる。
クラウドCXプラットフォームを手掛けるナイスジャパン(東京都港区)は8月2日、コンタクトセンターCX調査の結果を発表した。調査では、消費者ニーズと企業の取り組み実績に大きなギャップがあることが明らかに……?
消費者として商品やサービスを利用する中で、何か不明点が生じた際にまず「自分で調べる」人は95.2%と多数を占めた。そこで解決しなければ、その後「問い合わせる」とした人が合わせて74.0%となり、コンタクトセンターの重要性が確認できる。
また、最終的に「分からなければあきらめる」とした人の合計は4割弱に上った(自分で調べた後、最終的にあきらめる人を含む)。
消費者の自己解決ニーズが高まる中、9割以上が「WebサイトのQ&A」を利用したいと考えているが、企業側の提供は6割以下と大きなギャップある状態だ。
「WebサイトのQ&Aは、担当部署がコンタクトセンター部門ではなく、Webサイトの管理部門であることも多い。それぞれで分けて管理しておりナレッジ共有が進まず、連携できていない様子」と、ナイスジャパン セールスディレクターの島田宏巌氏は解説する。
一方で、消費者の多くは「電話、オペレーター」「店頭、実店舗」では不明点の解決度が高いと認識している。コンタクトセンターのマルチチャネル化に取り組む企業は多いが、日本ではまだボイスコミュニケーションが主流なようだ。
最も利用割合の高かった「WebサイトのQ&A」の解決度は高くないため、FAQサイトの継続的な改善やアップデートが必要とみられる。
消費者は購入前後で「疑問が解決されない」ことがあった際、他社への離反の可能性が高くなる(購入前:39.5%、購入後:24.8%)ようだ。
また72.2%が「購入後のサポートのよしあし」で継続的な利用意向が高まると回答。消費者のCXは直接LTV(顧客生涯価値)と関連しており、コンタクトセンターが売り上げやリピート獲得に直結する部門だということが再確認できる。
コンタクトセンターにおける電話のつながりやすさについて、消費者の68.5%が「つながりにくくなった」「つながりにくい」と回答。一方企業は、5割弱が「つながりやすい状態」(つながりやすくなった:29.1%、つながりやすい:19.2%)とし、大きなギャップが見られた。
同社はこのギャップが生まれる要因について、顧客インタビューなどを通じて解明していくという。
コンタクトセンターでの生成AI活用については、49.2%が導入を進めていると回答。「計画中」とした企業は28.8%で、コンタクトセンターへの生成AI活用の注目度の高さがうかがえる。
「FAQの生成」(64.2%)での活用が多く、うち6割が正答率の向上に関して効果があったとしている。
「顧客対応」(46.3%)、「オペレーター支援」(40.7%)と続いた。
同調査では、コンタクトセンターでの高い生成AI活用ニーズが明らかになった一方で、CX向上においては課題も多く上がった。日本国内のコンタクトセンターの改善ニーズについて、ナイスジャパンのオリビエ・ジオレット社長は「日本は海外と比較して、コンタクトセンターのDX、CX改善が3〜4年おくれている状態。だが、これは日本がセキュリティへの高い意識を持っていることも影響した結果だ。これからより面白い市場になると考えている」とコメントした。
調査は6月18〜20日に、インターネットアンケートの形式で実施した。消費者調査では、過去1年以内にFAQ閲覧、もしくはコンタクトセンターに問い合わせの経験がある人を対象とし、有効回答数は250件。企業調査は、(1)コンタクトセンター機能を管理・運用部署に勤務し、顧客対応方針の検討・決定、管理に関与、(2)勤務企業/官公庁の従業員数50人以上、(3)1日2件以上の問い合わせあり――の3つの条件を満たす人が対象で、有効回答数は250人。
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