約9割の社員が「ストレスを感じている」 会社はどう対応すればいいのか(3/3 ページ)

» 2024年08月08日 13時55分 公開
[芳賀彩花ITmedia]
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社員のレジリエンス向上により根本的な対策を

 ストレスに対する精神的な回復力を指す、レジリエンス。先天的な要素もあるが、実は後天的に伸ばすことができる能力だ。能力を伸ばすには、スキルを付けることが必要だ。

 レジリエンスにつながるストレス対処力には、大きく分けると「ストレスに向き合う」「ストレスから距離を取る」の2種類がある。バランスよく取り入れる引き出しを持っておくことで対処力が向上する。

ストレスを対処するには……(出典:ゲッティイメージズ)

 例えば前者は、課題を特定し、解決に向けて計画を立てるスキル、ものごとを建設的に見る視点や周りに相談するというスキル。後者は変えようのないことに固執せず前向きに諦めたり、うまく気分転換を取り入れ負の感情を発散するスキルだ。

 適切な対処を選び、繰り返すことでストレス対処力が向上していく。ストレス対処力がつくと、自分で抱え込まずにキャリア上の困難とうまく付き合うことができ、自己肯定感もあがる。実際、メンタルケアの支援を受けた人からは「ミスをしても、自分はダメだと落ち込むのではなく、要因分析をして次はここを改善しようと前向きに思えるようになった」といった話をよく聞く。

 人事担当者の方は、ぜひ経営陣を巻き込もう。経営者の方は、全社的な取り組みとしてぜひ旗を振っていただきたい。メンタルヘルスとエンゲージメントの向上は、企業の持続的な成長に不可欠な要素だ。社員一人ひとりがイキイキと働ける環境を整えることで、企業全体の生産性とエンゲージメントが向上し、最終的には企業の競争力を高めることができるだろう。

 健康経営の目標は、「労働生産性の向上」「人材定着、望まない離職の低減」「従業員満足度及びワークエンゲイジメントの向上」だ。社員の健康を通して企業の成長につながる戦略的な対策を実践していこう。

著者プロフィール:芳賀彩花

booost health株式会社 Founder & CEO

 東京大学文学部社会心理学専修課程卒業。 IESE Business School MBA卒業。 マッキンゼー&カンパニーにて、戦略策定、オペレーション改善、企業変革に約8年従事。 経営コンサルタントとしての経験を経て、「日本の働く人々をもっと心身ともに健康にしたい」という課題意識から企業の社員向けのメンタルケア・生産性向上に繋がるAIツール・サービスを提供するbooost healthを2022年に創業。心理カウンセラー、メンタルトレーナー資格。


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