訪日外国人観光客(インバウンド)の定番土産になっているネスレのキットカット。その人気はすさまじく、インバウンドが多く訪れるドン・キホーテでは、月間1億円以上も購入されているという。
人気の主な理由は、日本でしか販売していないフレーバーが多数あるからだ。しかしなぜ、日本にだけ多くの種類があるのだろうか? その理由をネスレ日本(東京都品川区)でキットカットブランドのマーケティングを担当する藤井真梨奈さんに聞いた。
現在、国内で販売中のキットカットはフレーバーだけで約40種類。旬の素材を使った季節限定商品や、お土産を想定したご当地商品など、多くのラインアップをそろえ、サイズ展開やパッケージのバリエーションを含むと、さらに多くのSKU(商品管理単位)が存在する。
スイスに本社を置くネスレのキットカットは、英国で誕生したチョコレート菓子であり、現在は80以上の国・地域で販売している。一方でこれほど多くの種類を扱っているのは「ネスレ日本」のみ。海外ではミルクやキャラメルなどはあるものの、10種類ほどの展開にとどまっているという。
日本で幅広いフレーバーを展開している背景には、ネスレが掲げる「Think globally, act locally」(グローバルで考えて、ローカルで行動しよう)というポリシーが前提にあると藤井さんは話す。
「その国の消費者の嗜好(しこう)や食文化を尊重しながら商品開発やマーケティングを行っていくという行動哲学のようなもので、こうした考え方に基づき、日本でもブランド展開を行っています。
日本には全国各地に豊富な特産品があり、旬を大切にする消費者は味に対して繊細な感覚を持っています。また、日本人は新しいものを好む国民性も持ち合わせています。こうした嗜好やニーズを追求しながら商品開発を進めてきた結果、現在の幅広い商品ラインアップに行き着いています」
またフレーバーだけでなく、パッケージのデザインに関しても、ここまで多様な展開している国は日本だけ。そうした点もインバウンドの目を引く大きなポイントになっているという。
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