そこで3社は、操縦者が単にロボットを操作するだけでなく、「実際のロボットの動きが、操縦者にも伝わってくる仕様」を採用。操縦かんに操縦者が力を加えると、加えられた力の量と方向をセンサーが検知することで、ロボットの腕が動く。さらに、動いた量が今度は操縦かんに反映されるという技術により、「自分が動かしていること」を実感しながら作業ができるようにした。
また、操縦者は操縦時にヘッドマウントディスプレイ(VRゴーグル)を装着する。操縦者が首を動かすとロボットの頭部もそれに伴って動くため、頭部に設置されたカメラからの映像がそのまま操縦者の視界に入るようになっているのだ。こうした仕様により、「直観的な操作感」を実現させたという。さらに「多機能」という名の通り、塗装や切断、ねじ締めのように用途別にツールを付け替えられるようにすることで、将来的に多様な作業に対応できるようにした。
「人型ロボット」というキャッチーな形を採用したことに関しては、梅田氏は「当初は全く目指していませんでした」と話す。「腕が1つだとやれることに限りがあるが、多すぎても重量の問題があるため、2本に落ち着いた。カメラについても、視界が妨げられない位置を考えた結果、人間でいう頭部の位置に持っていかざるを得なくなった。機能やコストを考えて、結果的に人型になりました」
現時点では多機能鉄道重機を操作する上での公的資格はなく、社内で一定の教育を受けた人が操縦にあたっている。
導入してすでに1カ月経つが、梅田氏によると現場からの評判も悪くないという。体力面で今まで通りの作業が困難になってきたベテランの作業員からは、「このロボットを動かせば、今までの知見を生かして働ける」と好評なようだ。
JR西日本は、今後も作業の幅を広げられるよう、さらなるツールの開発などに取り組んでいきたい考えだ。「トンネル内や高所における設備点検、清掃、部品の取り換えなど、活用シーンをさらに広げていきたいと考えています。現時点では1台導入しているだけですが、使っていく中で課題をきちんと把握して、その知見を生かして量産にもつなげていけたら」(梅田氏)
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