帝国データバンク(東京都港区)は、豆腐店の倒産動向について調査・分析を行った。7月までの倒産は36件で、「物価の優等生」として食卓を支えてきた豆腐は、薄利多売で利益が出ず、半数が赤字経営であることが分かった。
スーパーなど小売店向けにパック豆腐などを生産する豆腐店の倒産(負債1000万円以上、法的整理)と休廃業は、7月までに36件発生した。前年同期の46件を上回るペースとなり、年間60件台に到達する可能性もある。
豆腐店の経営は、豆腐作りのコスト増と価格転嫁の難しさの間で厳しい状況が続いている。
コスト面を見ると、量産豆腐に多く使用される米国産など輸入大豆の価格は落ち着いたものの、円安などの影響を背景に高止まりで推移している。さらに、電気・ガス代や物流費、プラスチック容器代なども値上がりしている。
価格面に目を向けると、豆腐は生鮮食品などと同様に日持ちせず、特売品の目玉として小売業者からの値下げ圧力が高い。加えて、近年急速に台頭してきたプライベートブランドの豆腐製品や、大手メーカーによる大量生産品との価格競争が厳しくなっている。
実際に豆腐1丁当たりの大豆原価率を試算すると、コロナ前を上回る10%台で推移するなど高い水準が続いている。その一方でコスト上昇分を販売価格へ転嫁できるケースは少なく、豆腐店の損益は約半数が赤字となった。薄利多売による経営環境の悪化に後継者難といった経営課題も重なったことが、豆腐店の倒産・廃業が急増した要因とみられる。
豆腐の適正価格への理解が進まなければ、豆腐店の倒産や廃業が今後さらに増加する可能性も考えられる。
集計対象は負債1000万円以上の法的整理による倒産、休廃業・解散企業。集計期間は7月31日まで。
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