茨城県取手市は8月20日から、議会答弁書案の作成サポートに特化した生成AIサービスを試験導入した。先端技術と市職員が持つ経験や知識を掛け合わせることで、議会対応業務の効率化を図るととともに、より質の高い議論展開を目指す。
導入したのは、市が連携協定を結ぶ、AI音声認識サービスのアドバンスト・メディア(東京都豊島区)が開発した「AI議会答弁書作成支援システム」。このシステムでは、市議から提出された一般質問通告事項を入力すると、想定質問と答弁案が作成される。他の自治体の事例検索と要約情報を反映した答弁書の素案なども生成できるという。
市は「生成AIによって生成された答弁書素案を参考に、市職員が有する経験や知識を加えて議会対応業務の向上を図る」としている。
市では、これまでにも同社の音声認識による議事録作成サービスを活用。従来は委員会の議事録作成に、年間100時間以上の時間外労働が発生していたが、サービスの活用で一人当たりの時間外労働を30時間減らし、速記業務の外部委託にかかる費用(年間320万円)の削減にもつながったという。
生成AI活用をめぐっては、全国の自治体で導入の動きが広がっている。議会答弁書の作成では、相模原市が2024年3月から始め、生成AIが作った原案をもとに市長が答弁し、話題になった。
総務省が7月に発表した「自治体における生成AI導入状況」によると、生成AIを導入済みの割合は、都道府県で51.1%、指定都市で40.0%、その他の市区町村で9.4%。具体的な活用事例では「あいさつ文案の作成」「議事録の要約」「企画書案の作成」が上位3項目となっている。
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