国民的アイス「ガリガリ君」、誕生のきっかけはオイルショック? 年間4億本も売り上げる秘密は「消費者との共同作業」長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/4 ページ)

» 2024年09月04日 09時20分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

 日本を代表するアイスキャンディー「ガリガリ君」。1981年の発売以来、コンビニやスーパーの定番となり、現在に至るまで売れ筋商品としてヒットを続けている。

 アイスキャンディーなどのいわゆる「氷菓」は、食べているときは涼感があって良いものの、ねっとりとし過ぎていたり、甘すぎたり、しばらくしてかえってのどが渇くような商品もある。それに対してガリガリ君には独特な、かき氷に近いスッキリとした後味があって、のどの渇きも潤う感がある。

ガリガリ君が支持される理由は?(提供:赤城乳業、以下同)

 ガリガリ君を製造販売する赤城乳業の本社は埼玉県北部の深谷市にある。「日本一暑い街」として知られる熊谷市に隣接しており、やはり夏は暑い。赤城乳業はかつて「天然氷」で商いをしており、氷に関する知見が深い。酷暑を乗り切るノウハウとして、喉が乾きにくい氷菓を考案したとも考えられる。

本庄千本さくら5S工場

 現在、ガリガリ君に使っている氷は、不純物のない溶けにくい「純氷」。雑味のない軟水の氷を削っているので味がストレートに伝わり、ガリガリ食感と涼感が持続する。同社には他にも、「ガツン、とみかん」「ソフ」などといったナショナルブランドを有するが、軽やかでスッキリとした後味は共通した作風となっている。

なお、赤城乳業の社名は、群馬県に近く、赤城山が本社からも見えることから付けたという。牛乳を製造販売したことはないものの、将来的には営む予定だった説もあるらしい。

削氷室

 深谷というと、新1万円札の肖像画に選ばれた「日本資本主義の父」と称される渋沢栄一の生家がある。地元は盛り上がっており、隣接する本庄市にある工場見学と、渋沢栄一記念館をセットで観光する人も増えているとのこと。

 さて、今回はそんな赤城乳業の大ヒット商品・ガリガリ君の開発背景と、人気が持続する秘訣を探求していこう。

かき氷の製造
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