給料が上がらなくても「社員旅行」を復活すべき、その意外な経済効果スピン経済の歩き方(6/6 ページ)

» 2024年09月25日 09時31分 公開
[窪田順生ITmedia]
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いま選べる「アイテム」は

 そこで選べる「アイテム」は限られている。一つは税金だ。補助金やらを地方にバラまいていく方法だが、人口減少でこれも厳しい。となると、いつものパターンで民間企業に頼るしかない。過去最高になっている「内部留保」をどうにか理由を付けて、吐き出してもらうのだ。

 しかし、先ほどから申し上げているように「賃上げ」は期待できない。悲観しているわけではなく、30年以上も給料が上がっていない国で、首相も政権も変わっても上がっていないのだ。そういう長年の問題がここにきて急に解決できるという楽観的なものの見方ができないだけだ。

 そうなると消去法で残るのは、企業しかない。日本は国民は貧しいが、企業は過去最高益で内部留保も潤沢だ。これをどうにか理屈をつけて、地方にバラまいてもらう。その理屈の一つに「社員旅行」を活用したらどうだろうか。

令和の社員旅行の意味合いとは(画像はイメージ、出典:ゲッティイメージズ)

 かつて昭和の社員旅行といえば、「大型温泉ホテルの宴会場でどんちゃん騒ぎ」「コンパニオンを呼んだり新入社員の余興で大盛り上がり」という感じだった。もはや昔のドラマやドリフのコントでしか見かけない、このような社員旅行は「慰安」や「社員同士の親睦」が目的だった。

 しかし、時代は変わった。人口が減って賃金は上がらないという悪循環の中で、地域経済を守るには「持てる人」にカネを落としていただくしかない。「縮むニッポン」の中で、助け合っていくしかないのだ。

 令和の社員旅行は自社の利益のためというよりも、「社会貢献」「地方活性化」という意味合いが強くなっていくのではないか。

窪田順生氏のプロフィール:

 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル

 近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受


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