「キャンプブーム」は終わった アウトドア業界はどの市場に“種”をまけばいいのかスピン経済の歩き方(1/7 ページ)

» 2024年07月31日 07時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

 次の「金脈」はどこにあるのか、と悩んでいる業界関係者も多いのではないか。

 日本経済新聞の記事「キャンプブーム終焉 ワークマンは『男子』に回帰」(7月28日付)によれば、「#ワークマン女子」などに力を入れていたワークマンがキャンプ需要が落ち着いたことを受けて、「男性カジュアル衣料」に力を入れるように方針転換をするという。

近年「#ワークマン女子」の店舗を増やしてきたワークマン(出典:ワークマンのプレスリリース)

 また、アウトドアメーカー大手のスノーピークもキャンプブーム終焉(しゅうえん)が影響して、2023年12月期決算の純利益は99.9%減の100万円にとどまったことが大きな話題になった。今期は米国や中国などの海外出店を強化する予定で、この夏には米国初の直営キャンプ場をオープンした。

スノーピークUSAが2024年7月、ワシントン州ロングビーチにオープンした米国初となる直営キャンプフィールド「Snow Peak Long Beach Campfield」(出典:スノーピーク)

 ただ、15年来のキャンプ愛好家の立場から言わせていただくと、今の「キャンプ需要の落ち込み」は自業自得というか、ハナから分かりきっていたことではないか、という気もしている。

 基本的にキャンプ・アウトドア用品は、一般的な製造小売ビジネスの成功モデルである「大量生産・大量消費」がハマりにくい。「買い替え」をそれほどしないからだ。

 筆者もコンテナを借りて収容しなくてはいけないほどキャンプ用品を所有しているが、そのほとんどが5年、10年と愛用しているものだ。手入れをすれば長持ちするし愛着もわくので、近年はほとんど新しいグッズを買っていない。

 そんな「買い替えがあまり必要ない商品」が販路を拡大して、巨大商業施設のテナントやスポーツ用品店でナイキやアディダスと並んで売られるようになればどうなるか。

 当初はブームもあってよく売れるだろう。しかし、ある程度消費者に行き届けば需要が落ち着いていくのは当然である。

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