これではいけないことに、多くの国民も危機感を抱いている。先ほどの調査でも「もう一歩進んだ防災対策をしたい」と回答した人は80.1%。「子どもに、防災について知ってもらいたい」と回答した人も79.1%に上っている。
そのニーズに合致するのが防災キャンプだが、まだ自治体や一部の市民が主導している状況で、それほど盛り上がっていない。しかし、ここにワークマンやスノーピークという有名企業が入ったらどうか。
もちろん、最初はビジネスとしてのメリットは少ない。CSR(企業の社会的責任)的な位置付けだろう。ただ、長い目で見ればアウトドア業界の次の成長エンジンを育てる「先行投資」になるはずだ。
「#防災キャンプ女子」とか「人生に野遊びと防災を」なんてキャンペーンを仕掛けて防災キャンプを社会現象にしていけば、「世論」と「票」を味方につけたい政治家も動く。議連ができる。利権が生まれて、「国策」として防災キャンプ市場の成長が後押しされるので、その恩恵はワークマンやスノーピークに還元されるのだ。
日本は「災害大国」と言いながらも、防災が未整備な状況だ。背景にはこの分野がまだ「産業」として確立されていないことが挙げられる。ミもフタもないことを言ってしまうと、カネの匂いがしないので、政治家やら高級官僚が「旨みがない」と判断して、普及に真剣にならないのだ。
キャンプブームも終わって次の成長戦略を探すアウトドア業界の皆さんはぜひ一致団結して「防災キャンプ」を国策に押し上げてみてはいかがだろうか。
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル』
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受
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