といっても、それは「社員旅行で愛社精神アップで業績もアップ!」とか「エンゲージメントが向上して離職率が下がる」みたいな方向の話ではなく、「経済効果」が期待できるからだ。
「社員旅行ごときでそんなに経済効果なんてないだろ」と冷笑する人もいるだろうが、バブル期まで全国にあった「大型観光ホテル」は紛れもなく「社員旅行効果」である。大量の団体ツアー客が毎年必ずやってきてくれるので、観光業者側も安心して設備投資を行えたのだ。
これを令和の今、復活させる。現在、企業の2割ほどしか実施していない社員旅行を、かつてのように「8割」くらいに戻して、民間企業にカネを使ってもらう。もっとストレートに言ってしまうと、社員旅行の名目で企業がため込んでいる内部留保を吐き出させるのだ。
といっても、みんなでハワイや韓国に行ってはいけない。旅行先はあくまで国内。しかも、京都や博多などの有名観光地ではなく、しなびた観光地、あるいは復興中の北陸などだ。
なぜそこまで「国内社員旅行」といった条件にこだわるのかというと、人口減少や貧困化で減少の一途をたどっている「国内観光客数」のキープに貢献できるからだ。
京都などの有名観光地にはオーバーツーリズムが問題になるほど外国人観光客があふれているので、あまりピンとこないだろうが、実は今、「国内観光をする日本人」の減少が問題となっている。
観光庁が発表した2023年の日本人国内のべ旅行者数は4億9758万人。これは2017年の6億4751万人と比べると、1億4993万人も減ってしまっている。もちろん、最も大きな要因は「人口減少」だが、これは先ほども述べた日本人の常軌を逸した低賃金も関係している。旅行やレジャーという「ぜいたく」にカネをかけられない経済的余裕のない人が増えているのだ。
これは日本経済的にはかなりマズい「悪循環」だ。
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