セルフコーチングが進むと、上司の育成にかかる負担も軽減されます。これまでは、ロールプレイに付き合ったり、商談に同席したり、個別にフィードバックをしたりと細かく関わる必要がありました。複数のメンバーがいる場合、教育時間の総量が増え、個別のフォローまで手が回らず、通り一遍の育成になることもありました。
音声データでスキルが可視化できるようになれば、育成の一部をセルフコーチングに切り替えることができ、上司の時間や手間を軽減できます。個別に指導する場合もデータをもとに指導できるため、「ここをこんな感じで」という感覚的な指導から「この部分を3秒短くしたほうがよい」というような定量的かつ具体的な指導を個人に合わせて行うことができます。
育成にかかる時間が減り、上司は新たに生まれた時間を組織全体のマネジメントや、自らのセルフコーチングに当てることができるようになります。
少なくとも現状ではAIが人を束ねたり、モチベーションを高めたりすることはできません。マネジメント層が強化されることで組織全体のパフォーマンス向上につながります。
このように、人材育成に音声データの活用を進めると、均一な育成体制の確立につながります。また、セルフコーチングの促進や評価基準の刷新、上司の負担軽減といった効果は、従業員のモチベーションや定着率の向上にもつながります。
従来の働き方から脱却することは、採用活動において他社との差別化や求職者にとってのメリットにつながり、人材を確保しやすくなります。これからのAI時代において、従業員が快適に感じ、十分に力を発揮できる職場づくりを実現していくことが重要です。そのために、テクノロジーを駆使して働き方を変えていくことがサステナブルな経営を維持するうえで不可欠な取り組みになっていきます。
AI時代に「音声データ」が持つ価値とは? コミュニケーションを”資産化”する方法Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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