以上のように、かなり詳細に質問に答えてくれた。筆者としてはやはり安全性が気になっていたが、欧州に拠点を置いていることで、EU域内の個人データを保護するための統一ルールであるGDPR(一般データ保護規則)などにより、厳しいユーザー情報の管理や、サイバー攻撃の迅速な報告と対応が求められていることが評価できるだろう。
実は筆者も少し前から特定の知人との間ではViberを使ってコミュニケーションを取っているのだが、今のところ、いちユーザーとして特に不満や違和感はない。
ただ、楽天グループであるのに日本でほぼ普及していないのは残念である。LINEが繰り返しセキュリティ面で問題を起こして3度も総務省から行政指導を受けても、日本人がLINEを手放せないのは、日本人に優しいメッセージングアプリが他にないからだ。
Rakuten Viberがその代わりになるにはもっと知名度を上げないといけないだろうが、日本人が安心して使えるアプリとしてどんどん表に出てきてほしい。そうなれば日本のメッセージングアプリの市場がもっと健全になると思うのだが。
山田敏弘
ジャーナリスト、研究者。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフェローを経てフリーに。
国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争』(文春新書)、『死体格差 異状死17万人の衝撃』(新潮社)、『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)、『サイバー戦争の今』(KKベストセラーズ)、『世界のスパイから喰いモノにされる日本 MI6、CIAの厳秘インテリジェンス』(講談社+α新書)がある。
Twitter: @yamadajour、公式YouTube「SPYチャンネル」
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