「KADOKAWA」「ニコ動」へのサイバー攻撃、犯人と交渉中の暴露報道は“正しい”ことなのか世界を読み解くニュース・サロン(1/5 ページ)

» 2024年06月26日 05時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

 今、ランサムウェア(身代金要求型ウイルス)によるサイバー攻撃を巡って、セキュリティ関係者の間で物議が起こっている。

 問題になっているのは、6月8日にランサムウェア攻撃を受けたニコニコ動画だ。ドワンゴが運営するニコニコ動画が停止してしまい、親会社のKADOKAWAにも影響は及んでいる。ニコニコ動画がサイバー攻撃から復旧するには、少なくとも7月末までかかると発表されている。

有名企業へのランサムウェア攻撃を巡る報道が問題に(画像提供:ゲッティイメージズ)

 この事件を受けて6月22日、オンラインメディアのNewsPicksが「【極秘文書】ハッカーが要求する『身代金』の全容」とする記事を掲載。ランサムウェアの攻撃側と行っている交渉の内容を詳細に暴露したことで、ドワンゴ側から猛反発が起きている。

 ここでは記事の詳細は書かないが、KADOKAWAとドワンゴの夏野剛社長は「このような記事をこのタイミングで出すことは、犯罪者を利するような、かつ今後の社会全体へのサイバー攻撃を助長させかねない行為です。Newspicksに強く抗議をするとともに、損害賠償を含めた法的措置の検討を進めてまいります。なお、本記事についてコメントすることはございません」とコメントしている。

6月14日、KADOKAWAがシステム障害についてコメント(出典:KADOKAWA)

 これがセキュリティ界隈(かいわい)、そしてメディアでも議論を生んでいるのである。記事を掲載したメディア側と、サイバー攻撃被害企業のどちらの言い分が“正しい”のだろうか、と。本稿では、この問題についてサイバーセキュリティを取材してさまざまなメディアで伝えてきた筆者の経験も踏まえて考察してみたい。

       1|2|3|4|5 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.