1つ目は、スマホの普及により、電子書籍プラットフォームやマンガアプリから生まれた漫画の数が大きく増えていること。
2つ目は、出版社などを介さない、個人による漫画販売が増えたこと。これは、コミックマーケットのような同人誌即売会で同人誌を発売するクリエイターや、Kindleインディーズマンガをはじめとしたデジタルプラットフォーム上で発信するクリエイターも当てはまります。
3つ目は、いわゆるWebtoon(ウェブトゥーン)と呼ばれる縦読みのマンガを制作する、ウェブトゥーンスタジオの設立ブームが起こったこと。2年ほどの間に、70〜80ほどのウェブトゥーン制作スタジオができたことが公表されました。また、それ以上の数の編集プロダクションや個人が、無数に新しいジャンルのウェブトゥーンに進出しました。
紙で印刷して店頭に並ぶアイテム数だけで、年間で約1万5000ほどです(※1)。デジタル作品はこうした一元管理がなされておらず、年間の作品数で見ても、1万5000〜2万ほど生み出されているのではないかという肌感です。
これは、日本で映画が年間で676作品(※2)、近年の日本のテレビアニメ制作本数が300前後で推移している(※3)ことと比べると、かなり多いことが分かります。さらに、海外と比較してみても、年間で生まれる作品数は、米国のアメコミの新刊点数は不明ですが市場規模で半分ほど、韓国ではウェブトゥーンが2617作品(※4)ですので、日本のマンガの数は突出しているようです。
漫画業界では、ヒット作品が生まれる確率は「千三つ」と言い、1000作に3作ほどの割合でヒット作品が生まれると言われています。つまり、ヒット作品をつくる唯一無二の方法はたくさんの作品をつくるということになります。
生み出される作品が多いほど、ごくわずかな確率で生まれるとんでもないヒット作品が出て来る可能性が上がるのです。ごくわずかな作品を制作し、狙いすましてヒット作品をつくろうにも、なかなかそうしたことは起きません。
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