なぜ、謎の「クラフト〇〇」が増えているのか 大企業が次々に参入する理由スピン経済の歩き方(6/6 ページ)

» 2024年10月16日 10時07分 公開
[窪田順生ITmedia]
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既に成功している大手企業も

 クラフト餃子やクラフトフィッシュの刺身をさかなにクラフトビールを飲み、時にはクラフトミートの焼肉を堪能、シメにクラフトラーメン……。そんな「職人のこだわり」「手づくり感」にこだわった「クラフト専門レストラン」が至る所に増えていくかもしれない。

 そうなると大企業チェーンも「便乗」していくだろう。既にそれで大成功しているところもある。うどんチェーンを展開する丸亀製麺(東京都渋谷区)だ。

 今オンエアされているCMで「丸亀製麺には、すべての店に麺職人がいる。」というキャッチコピーを押し出しているように、丸亀製麺は各店ごとに熟練の職人(麺職人)を配置しているのが特徴だ。そのような意味では、「クラフトうどん」のチェーン化に成功しているといってもいいだろう。

丸亀製麺の手打ちうどん(出典:同社プレスリリース)

 このような「クラフト感訴求の成功モデル」をパク……ではなく、参考にする大手外食チェーンもあらわれるかもしれない。例えば、従来のファミレスより職人的なこだわりを強めた「クラフトファミレス」。あるいは、手間暇かけた熟成肉や稀少な高級肉しか使わない「クラフト牛丼」――。

 「バカバカしい」と笑う人も多いだろうが、これまで見てきたように、「職人のこだわり」という付加価値を示す「クラフト◯◯」は言ったもの勝ちの側面もあり、消費者が食い付けば、大企業はスピード感をもって便乗してきた、という動かし難い事実があるのだ。

 クラフトミートを用いた職人こだわりのハンバーガーを、クラフトコーラで楽しむ「クラフトマクドナルド」なんて冗談みたいな店が、いつの間にか始まっているかもしれないのだ。

窪田順生氏のプロフィール:

 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル

 近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受


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