鉄道の関連会社も、エキナカのファストフードとしておにぎり専門店に着目しているようだ。JR東日本クロスステーション(東京都渋谷区)では2002年に東京駅で「ほんのり屋」を開業。現在は22店にまで増えた。小田急レストランシステム(東京都渋谷区)では「おだむすび」を3店、小田急沿線に出店している。
変わり種として「スシロー」を展開するFOOD & LIFE COMPANIES(大阪府吹田市)が新規事業として、おにぎり型のすし「むすび寿司」を開発。2020年9月、大阪の難波に1号店を出店。同年10月、さいたま市に出店した店は閉店したが、この5月に東京都中央区・人形町に出店し、現在は計2店である。しょうゆも箸も不要な、ワンハンドで食べられる酢飯を使った新感覚のすしとして、すしとおにぎりの良いところ取りを目指したという。具材は人気のすしネタを中心に、20種類以上を展開している。
このように盛り上がりを見せるおにぎり専門店だが、悩みの種は米の価格高騰だ。業務用は、1年前に比べて1.5倍ほどになったという。かといって、1個400円のおにぎりを、600円に値上げして顧客はどこまでついてこられるかは未知数だ。
ぼんごの右近氏は「もともと、そんなにもうかる商売でない。私は昔、倒れるほど働いたが、今は労働の基準が厳しくなったから店員に無理もさせられない。続けていく条件は厳しくなっている」と懸念を話す。
ただ、おにぎり人気が高まっているのは事実。タイムパフォーマンスを重視するZ世代や、グルテンフリーな点から海外でも支持を拡大しており、ビジネスチャンスは大いにある。おにぎり専門店が、どのようにコスト高を克服してさらなる成長を見せるのか、今後の動向をウォッチしていきたい。
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。著書に『なぜ駅弁がスーパーで売れるのか?』(交通新聞社新書)など。
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