ぼんごや宿六のような老舗が、おにぎりのブームを牽引している感もあるが、おにぎりのチェーンとして頑張っているのが先にも触れた権米衛だ。国内51店、海外にも米国が2店、フランスに2店を展開する。
権米衛では「冷めてから米の本領が発揮される」という考えで、契約農家から米を仕入れ、炊飯に工夫を凝らしている。テークアウト中心の業態であり、外食として握りたての魅力を伝えるぼんごや宿六とは方向性が異なる。
権米衛には全部で30種類ほどのおにぎりがあり、季節・店舗限定商品もある。価格は1個100円からあり、高くなったコンビニのおにぎりとそんなに変わらなくなった。鶏の唐揚げ、切干大根といった総菜やみそ汁、茶や水も販売している。
権米衛は、1999年に1号店を東京の大崎ニューシティにオープン。2012年には、手作り総菜も豊富にそろえる新業態の「おむすび権兵衛 ファーマーズキッチン」1号店をアトレ四谷に出店した。その後、海外1号店を2013年に、米国ニュージャージー州でオープンしている。
運営するイワイ(東京都品川区)の岩井健次社長は、大手商社に勤務していたとき、日本の食糧自給率の低さに危機感を覚えたという。本来の主食でありながらも、消費量が激減している米の消費拡大、米食文化の普及を目的に、おにぎりビジネスに取り組んでいる。同社の売上高は、2022年3月期が約30億円だったのが、直近の2024年3月期には約42億円と、2年間で4割ほども伸びており好調だ。
その他のチェーンとしては「ごちそう焼むすび おにまる」が挙げられる。ピザ店などを展開してきたマリノ(名古屋市)が、事業のポートフォリオを考慮して2年前に開発したチェーンだ。現在は中京エリアのみならず首都圏に関西、海外の台湾にも進出している。「焼むすび」という新ジャンルを開拓したチェーンであり、顧客はザルに買いたいおにぎりを取って、レジで実演調理してもらう独特なスタイルが人気を博している。
おにまるの米は、握っても焼いても米の旨味と粒感がしっかりと味わえる広島産や北海道産のものを使用している。おにぎり向きの米を大釜で炊き上げ、ご飯や具材を備長炭で焼いて提供する。
おにぎりは硬くならないよう焦げ目までは付けず、しょうゆダレの香ばしさを出すために炙っており、種類は常時20以上ある。看板メニューは、3尾の海老天が乗ったぜいたくな「香味だれ海老天むす」や、スパムおにぎりを独自にアレンジしたような「炙りポーク玉子」だ。
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