「シャドーIT」とは、会社が使用を許可していない、または従業員が利用していることを把握できていないITツールなどを指す。会社に無許可で生成AIを利用したことがある人は5割を超え、生成AIが「シャドーIT化」している実態があることが、Webデザインやシステム開発事業を展開するコーレ(東京都新宿区)の調査で明らかになった。生成AIの利用規制の実態とは。
生成AIの利用について、社内に「利用規制はない」は26.3%だった。最も多かったのは「条件付きで利用が許可されている」で60.4%に上った。また、条件付きで許可されている人のうち、会社が許可していない生成AIを業務で利用したことが「ある」人は53.4%と、半数以上を占めた。
会社が許可していない生成AIを利用した理由として、最も多かったのは「アイデアを得るため」で47.3%。以降は「業務効率を上げるため」(42.9%)、「好奇心で試してみたかったから」(41.4%)と続いた。
利用規制の状況別で見ると、条件付きで利用を許可されている人は「アイデアを得るため」(50.5%)、「業務効率を上げるため」(44.6%)が上位となった。一方、全面的に利用を禁止されている人は「好奇心で試してみたかったから」が51.9%で、最も多かった。
具体的に、どのような情報を生成AIに入力したことがあるのか。「企画書やプレゼンテーション資料の内容」については、利用規制がない人は32.7%、条件付きで利用が許可されている人は34.9%が、入力したことがあった。「会議で話し合われた内容」は利用規制がない人の35.7%、条件付きで利用が許可されている人の30.6%が該当した。
一方で「データ分析の結果」「業務プロセス」「プログラミングのソースコード」「商品やサービスの仕様・特徴」といった、機密性が高い可能性がある情報については、条件付きで利用が許可されている人のうち、それぞれ約2割が入力したことがあると回答。社員の意識改善や、社員教育・コンプライアンス体制の強化が必要と考えられる。
入力した会社の情報について「機密情報ではなかった」とした人は45.6%だった。また「多分機密情報ではなかった」「機密情報かどうかは分からない」とした人を合わせて44.0%が、機密情報かどうか不確かなまま生成AIに情報を入力したことがあると明らかに。さらに、「機密情報だった」と分かっていて情報を入力したという回答は10.6%だった。
従業員数別で見ると、機密情報と分かっていて情報を入力したとした人が最も多いのは「5001人以上の企業」で15.6%。全体結果よりも5ポイント高い結果となった。
また、機密情報と分かっていて情報を入力した人が最も多い職種は「商品開発、新規事業開発」で、17.7%。「人事、採用」(16.0%)、「営業サポート/営業事務」(14.5%)も他職種に比べ、割合が高かった。
業務で生成AIを利用するリスクについては、「情報漏洩(えい)」が最も多く、48.7%。以降は「権利侵害(著作権、商標権、意匠権、肖像権、パブリシティ権、プライバシーなど)」(43.3%)、「事実とは異なる情報の生成(ハルシネーション)」(41.4%)と続いた。
調査は、9月25〜26日にインターネットで実施。20〜50代の会社員1001人から回答を得た。
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