「ギャルのお悩み相談」も パーソルが社内GPTの“プロンプト掲示板”を作ったら、何が起きたのか(1/2 ページ)

» 2024年06月18日 07時00分 公開
[小林可奈ITmedia]

 言葉が思い出せないときには「あれ、あれ、あれだよあの単語」。誰かに悩みを聞いてほしいときには、ギャルが明るく解決してくれる「悩みへの認知行動療法的アドバイスbyギャル」。何のことかと思うかもしれないが、パーソルグループの社内GPTでシェアされている、生成AIへの指示文(プロンプト)だ。

 同社では社内GPT「PERSOL Chat Assistant」(通称「CHASSU」チャッス)を内製で開発し、グループ内の活用の浸透に力を入れている。国内における、同グループの社内専用GPTのユニークユーザー数は約1万2000だ。

 浸透の一つのカギが、社員が自由にプロンプトを投稿する、いわば“プロンプトの掲示板”だ。このプロンプトギャラリーには、議事録やビジネスメールの作成サポートといった一般的な用法もあれば、冒頭のように自由で楽しいアイデアもあり、社員たちの注目を集めている。

 パーソルグループでは、ITリテラシーが特別高いわけではない社員にも気軽に生成AIを活用してもらえるよう、どのように仕掛けているのか。また、プロンプトをシェアし合うことで起きた「思わぬ効果」とは? 旗振り役を務めるパーソルホールディングスの朝比奈ゆり子氏(グループデジタル変革推進本部 本部長)に聞いた。

パーソルが進める、社内の活用促進

 プロンプトギャラリーには「いいね」や「ダウンロード」の機能があり、人気の投稿が分かる。ダウンロード数が多いのは、ビジネスシーンで活用できそうなプロンプトだ。例えば、Teamsの文字起こしデータを読み込ませて議事録を作成するものや、ビジネス文書、キャッチコピーなどを作るためのもの。業務フローの作成や、やりたい作業を伝えるとExcel VBAのコードを作成してくれるプロンプトなど、業務効率化につながりそうなラインアップが並ぶ。

photo CHASSU内に設けたプロンプトギャラリー(画像はパーソル提供)

 いいね数が多いプロンプトからも、グループ社員が業務に活用している様子が見て取れる。提案資料の骨子や日程調整のメール作成、PowerPoint資料の与件整理、フェルミ推定を用いた予測、クロスSWOT分析などだ。

 それでは、あくまでも業務活用のためだけに生成AIを利用しているのかというと、実はそうでもない。ユニークなプロンプトも数多く、その例が冒頭で触れた「あの単語」や「アドバイスbyギャル」だ。他にも、テーマを投げかけるとクスッと笑える川柳で返してくれる「川柳さん」や、気になっているが未挑戦のことへのモチベーションを上げてくれる「それ、人生損していませんか!?」など、ユーモアあふれるものが並ぶ。

photo パーソルホールディングスの朝比奈ゆり子氏(グループデジタル変革推進本部 本部長)。左胸にはCHASSU

 「例えば上司に相談しても、いつでもすぐに返事があるわけではない。しかし、CHASSUは返してくれる。そういう使い方をしている社員もいるようです。自由闊達に作って、活用していますね。

 特定のインフルエンサーや職人的なクリエイターがいるというよりかは、IT系のキャリアを歩んできた人に限らず、さまざまな職種のグループ社員が投稿しています」(朝比奈氏)

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