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「井上尚弥vs.グッドマン」を独占配信、狙いは? ドコモ社長に聞いた(1/2 ページ)

» 2024年10月25日 12時13分 公開
[今野大一ITmedia]

 NTTドコモは12月24日、プロボクシング4団体統一世界スーパーバンタム級王者の井上尚弥選手と、WBO世界バンタム級王者の武居由樹選手による2つの世界タイトル防衛戦「NTTドコモ Presents Lemino BOXING ダブル世界タイトルマッチ」を、同社の映像配信サービス「Lemino」(レミノ)で独占無料生配信する。

 同大会は大橋ボクシングジムが有明アリーナ(東京都江東区)で開催。井上選手はIBF&WBO同級1位のサム・グッドマン(オーストラリア)と防衛戦を行う。ドコモは本試合の観戦チケットを、クレジットカード「dカード GOLD」の契約者や、ドコモのポイントプログラム「dポイントクラブ」会員限定で先行抽選販売する。通常価格から割引した特別価格で販売中だ。

 ドコモが本試合を配信する狙いは、レミノ新規会員の獲得だけではない。その先にはdポイントを始めとした「ドコモ経済圏の拡充」がある。10月24日に開いた記者会見の中でドコモは、総合的なスポーツビジネス事業の発展を目指すdドリームスポーツ&マネジメント(東京都渋谷区)への出資も発表した。同社は大橋ジムと、スポーツマネジメント事業などを手掛けるセカンドキャリア(東京都渋谷区)が設立した企業。大橋ジムの充実した選手発掘や育成体制、ボクシング興行の運営ノウハウ、セカンドキャリアの「アスリートファースト」をテーマとしたマネジメント力をかけあわせ、総合的なスポーツビジネス事業の発展を目指すという。

 今回の試合を配信する意味や狙いを、ドコモの前田義晃社長に聞いた。

前田義晃(まえだ よしあき) NTTドコモ社長。北海道大学法学部卒業。株式会社リクルートを経て、2000年5月株式会社NTTドコモに参画。iチャネルやiコンシェルといったサービスを手掛け、これまでにないユーザー体験を実現する。本格的なスマートフォンの時代が到来すると、音楽配信の先駆けとなるNapsterとのサービス・アライアンスの企画運営を担当。2017年より執行役員プラットフォームビジネス推進部長。dポイントやd払いによって社会の在り方を変革し、ドコモ自身も新たなステージへと飛躍させている。2020年7月、常務執行役員、マーケティングプラットフォーム本部長に就任。2022年7月に代表取締役副社長、スマートライフカンパニー長に就任。2024年6月にNTTドコモ社長就任(2024年7月撮影:武田信晃)

井上尚弥の試合を配信した投資効果は?

――井上選手の試合は、これまで複数回、配信してきました。決して安くないであろう配信権料を負担して、レミノでは無料で配信していますが、これまでの投資効果をどう考えますか? もちろんレミノを広く知ってもらう意味での効果はあると思いますが、金融決済や通信など他のサービスとの連携の部分で、何か手応えを感じていますか?

 レミノの知名度の向上は、井上選手の試合だけではなく、吉本興業HDさまと取り組んだ「PRODUCE 101 JAPAN SEASON3」を始めとしたさまざまなアーティストのコンテンツ配信によって取り組んできました。そして、そこからファンの方々が当社の他のサービスを使っている実績が、かなり出てきています。

 特に最近はアイドル系や芸能系のアーティスト、タレント、 アイドルの方々の推し活に合わせて、例えば(クレジットカードの)dカードと絡めたイベントを開催しています。店頭でイベントをして、そこでdカードの契約をした方に特典を提供する取り組みも実施しています。他にもd払いで支払ったり、dポイントがもらえたりといった金融の手段もあります。

 そうなると、推し活のコンテンツ販売そのものを、当社のサービスで決済していただくことになるわけです。ご存じの通り、推し活をする方は、かなりのお金を活動に使われます。一例ですが、決済の取り扱いの中では、こうした効果も現れています。そういった形で、波及効果は見えてきていますから、この調子で進めていきたいと考えています。

――「2023年 Lemino年間ランキング」では井上選手の試合が1位でした。井上選手の試合を配信した直後から、レミノの有料会員が急増するとかドコモの契約者が急に増えたとかといったことはありましたか?

 そうなればいいですよね。まず井上選手の試合を配信した後に、有料会員向けに、いろんな関連コンテンツを制作して、提供しています。それによって有料会員に転換する効果は、もちろんあります。 そこはもっと広がればいいと考えています。

 ただ、レミノだけではなく、先ほどの金融サービスや他のサービスとも、もっと連携を強めて顧客を増やしていきたいと思います。いずれにせよ当社のコンテンツの中で、井上選手の試合が最も多くの利用者を獲得できることは間違いありません。しっかりビジネスとしても活用できるようにしていきたいと考えています。

2023年 Lemino年間ランキングでは、井上尚弥選手の試合が1位に(プレスリリースより)

――今回はどの程度の視聴者数を獲得したいですか。

 もちろん、たくさん取りたいですけどね。クリスマスイブの配信ではありますが、できれば過去最高くらいの人に見てもらえればいいなと思います。

――来年は井上選手のさらに大きな試合を、多くの人が期待すると思いますが、レミノは独占配信権を獲得できるのでしょうか? 自信の程はいかがですか。

 「自信がある」と言わせていただきたいですね。もちろん素晴らしいコンテンツですから、皆さん(他社)も欲しいと思っていて、引き合いは多いと思います。 ただ今回、いろんな協力関係を作らせていただいていますので、ぜひ当社も前向きに考えたいですし、(プロモーターも)前向きに考えていただきたいなと思っています。

左から前田社長、武居由樹選手、井上尚弥選手、大橋ボクシングジム大橋秀行会長(© Lemino/SECOND CAREER)
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