2008年のリーマンショックの際、東芝の競合である日立も増資を行っていました。しかし東芝と決定的に違ったのは、当時、日立の川村隆会長自ら株主との対話を重ね、資本市場と向き合ったことです。
もちろん、会長自ら将来のビジョンを説明したところで、当然のことながらそれは将来の可能性でしかありません。したがって、株主からは非常にシビアな目が向けられ、厳しい質問をされます。経営者からすると、「なぜそんなことを言われなければならないのか」と感じるはずです。
川村会長のコメントで、自社を客観視することは非常に難しく、どうしてもひいき目に見てしまうため、なぜ自社の評価が悪く、株価が低いのかと感じてしまう。結局は外から見た人の意見のほうが正しく、企業にとって外の人は機関投資家だと言っています。
川村会長自身が日立のグループ会社に出ていた際、外から親会社のことを見て、客観的に分析できた経験があったからこそ、社外の意見を聞く重要性を認識できたともいいます。そういった素地があったため、株主との対話を行うという道を選択することができたと考えられます。
日立はそうした考えのもと、事業の売却など適切な改革を行ってきました。一方で東芝は、経営陣がそうした判断ができず、それを第三者がモニタリングするという適切なガバナンスも効かせられていませんでした。
そのため、資本市場と向き合わず、不正会計を行い、その監査も不適切で、債務超過への対処法として「金の卵を売る」という安易な判断を下し、その手続きが難航するとアクティビストという都合の良い外部の力に頼ることしかできませんでした。
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