AI活用でEC売り上げ伸長 コスメ世界大手「セフォラ」が進める、攻めのデジタル戦略とは？：がっかりしないDX 小売業の新時代（2/2 ページ）

[郡司昇，ITmedia]

SEOに生成AI活用　利点と注意点は？

　セフォラは新規顧客獲得の機会を拡大するために、SEO（検索エンジン最適化）に生成AIを活用しているということを紹介した記事があります。「敏感肌向けの最適なファンデーション」などの特定のクエリに対応したAI生成のランディングページを作成することで、キーワード検索のヒット率を上げているのです。

　生成AIによるSEO活用には利点と注意点があります。

　利点としては、AIを活用することで大量のコンテンツを迅速に生成でき、特定のキーワードに対応したページを効率的に作成できます。

　Googleは2023年2月にAI生成コンテンツに関するガイドラインを発表し、「どのように生成されたかに関係なく、高品質のコンテンツに報いる」としています。これは、読者に関連性と信頼性の高いコンテンツを提供する限り、AIツールの使用が許可されていることを意味します。

　一方で、注意点も存在します。AI生成コンテンツには著作権や法的な問題が生じる可能性があります。AIは外部の情報を学習してコンテンツを生成するため、著作権の帰属が曖昧（あいまい）になるリスクがあります。また、重複した類似コンテンツが生成されやすく、これは検索エンジンのガイドラインに反する可能性があります。さらに、AIは人間のニュアンスを完全には再現できないため、低品質なコンテンツや事実誤認（いわゆる「幻覚」）が発生するリスクもあります。

　これらのリスクを軽減するためには、AIを人間の作業を補完するツールとして使用することです。AIが生成したコンテンツを人間がチェックし、独自の視点や表現を加えることで、重複コンテンツの可能性を減らし、品質を向上させることができます。そして、AIに完全に依存せず、事実確認やデータの正確性を人間が徹底的に行うことが重要です。

　以下のような点にも注意が必要です。

　検索エンジンのアルゴリズムやガイドラインは常に変化しており、AI生成コンテンツの扱いが将来的に変わる可能性があります。最新の動向を常に把握し、必要に応じて戦略を柔軟に調整することが求められます。

　企業やブランド独自の世界観をAIが再現することは難しい場合があります。ブランドの一貫性を保つために、人間による編集やカスタマイズが必要になります。

　グローバル展開を行う企業の場合、AI生成コンテンツが各地域の文化的ニュアンスや言語の微妙な違いを適切に反映できないことがあります。ローカライゼーションには特に注意を払う必要があります。