自社オフィスで得た知見を踏まえ、新たなショールームのキーワードは、企業の「らしさ」をつくり上げていくことだとした。ワークスタイルマーケティング本部長の永井潤氏は、「人材の流動化が進み、組織が多様化する中、『企業カルチャー』を通して共通の価値観を作っていくことがますます重要になっていく」と説明。
顧客に対して、理想とする組織風土や働き方をヒアリングした上で、空間設計や建築を手掛けていく。例えば「もっとオープンな会社にしたい」というニーズがあれば、自然とコミュニケーションを取れるような家具や空間配置を提案するといった形でこれに応えていくという。
ショールーム会場では「公園」をイメージした家具のシリーズを紹介。遊具のような作りのテーブルでは、「自販機で居合わせた人と、ドリンクを飲みながら気軽な立ち話をする」といった用途を想定しているという。
コクヨが今後広げようとしているのがサービス領域だ。
同社は10月下旬、企業が持つ「自社ビル」を一棟丸ごとリノベーションするサービスを開始した。こちらの事業も自社オフィスでのリノベーション経験を生かしたもので、既存ビルの建築条件や設備に合わせて、活用できていない屋上エリアを緑化テラスへ変えるといったカスタマイズを提案する。
位置情報や座席予約システムといったICT技術の導入も支援し、空間設計にとどまらないサービス面も充実させる構えだ。
また、2025年春には企業カルチャーの変革を目的としたサービス「TEAMUS(チームアス)」をリリースし、コンサルティング事業にも進出する予定だ。取り入れるのは、社員のストレスチェックやエンゲージメントサーベイ。これによりチームの状態を可視化し、オフィス空間の提案やリーダーへのコーチングを行うことで、現場の意識変容や働き方改革に伴走するという。
永井氏は「『家具のコクヨ』にとどまらず、企業カルチャーを育むサービスを紹介していきたい」と力を込めた。「オフィス回帰」の波に乗って、コクヨは新事業領域を成長させられるか。
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