長引くコロナ禍の影響は、人々の生活様式を変貌させた。それはビジネスパーソンの働き方もしかり。「働く場所=会社のオフィス」が当たり前だった世界は消え、テレワークが浸透した現代では、オフィスだけでなく自宅、コワーキングスペース、シェアオフィス、カフェに至るまで“働く場”は多様化している。
この連載では、“働く場”の再定義が余儀なくされた現代において会社がどう対応するべきか。先進的な取り組みを行う企業を紹介していく。
2023年に東京エリアに4カ所あった拠点を集約し、蔵前JPテラスに本社移転したライオン。新オフィスでは、共創を促す仕掛けづくりと“ライオンらしさ”を意識したという。今回は、約2000人が働く2万平方メートルに及ぶ広大なライオンの新オフィスを取材。同社総務部の西本博昭氏に、移転背景やコンセプト、運用から1年間の成果について聞いた。
同社のオフィス移転は、今回が約50年ぶりとなる。旧オフィスの老朽化が契機となり、2019年に移転プロジェクトがスタートした。コアメンバーはさまざまな部署から専任で4人選ばれ、新オフィスのコンセプト設計から始まったという。
「旧オフィスでは、執務席と会議室を往復するだけの働き方でした。いわゆる縦割り構造です。新オフィスでは従業員同士の交流を促進しつつ、ライオンの企業理念が浸透するような場所を目指しました」
移転プロジェクトでは、オフィス設計にまつわる9つの分化会を設置し、デザイン会社と協力しながら自分たちが働きたいと思えるワークプレイスを構築した。各部署の意見を反映させる窓口として、オフィス委員には各部署長を任命。最終的には、本社の全従業員2000人のうち10分の1となる200人が参加するに至った。
本社移転のテーマは「行きたくなるMY BEST OFFICE」。コンセプトは「自ら選ぶ」「つながる」「ワクワク」と設定した。
「ABW(Activity Based Working)を導入し、執務席はもちろん、エントランス空間や食堂など、オフィス内であればどこでも働けるようにしました(自ら選ぶ)。その上で、他部署や社外の人と気軽に共創できるコラボレーションの場づくり(つながる)や、気持ちが高まる居心地の良さ(ワクワク)を意識した設計にしています」
それでは、気になるライオンのオフィスを見ていこう。
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