ディップ「時給10%増」の衝撃 スポットワーク市場に後から参入、勝算は?(1/4 ページ)

» 2024年11月29日 08時00分 公開

 求人サイト「バイトル」を運営するディップ(東京都港区)が、10月からスポットワーク市場に参入した。東京23区で先行スタートし、企業負担なしで時給を上乗せする「Good Jobボーナス」の導入や、既存の求人メディア事業との連携を軸に、12月12日から全国展開を予定している。

 物価高で生活負担が増える中、収入を増やしたいと考える人が増えている。空いた時間を活用して収入を得られるスポットワークへの注目が高まり、2024年10月時点で先行するタイミーは900万人、メルカリハロは800万人まで登録者を伸ばしている。スポットワーク協会によると、国内のスポットワーク登録者数は2500万人を超えたという。

スポットワーク市場が伸びている(提供:ゲッティイメージズ)

Good Jobボーナスで収入増

 後発での参入となったディップは、競合他社との差別化を図るため、独自の機能を設けた。「Good Jobボーナス」だ。企業が働きぶりを評価し「Good」を付与されると、時給の10%が上乗せされる。

 ボーナスはディップが受け取る手数料から捻出されるため、企業の追加負担はなく、ユーザーも普通に仕事をすれば付与される設計となっている。「Good Jobボーナスを導入した結果、リピート率は想定以上の水準で推移している」と、事業責任者の藤原彰二氏は語る。

photo 企業の追加負担なしで時給が10%上乗せされる「Good Jobボーナス」の仕組み(画像はディップ提供)

 ディップは、求人メディアの「バイトル」や「はたらこねっと」を展開しており、当初はスポットワーク市場への参入は既存事業との競合が懸念されていた。しかし、先行する他社サービスによって市場が形成され始めたことが追い風となった。

 リリース時には既存メディアとの棲(す)み分けが課題となったが、東京で先行展開する中、社内でビジネスモデルの違いに関する知識の習得を進め、スポット募集と通常募集で異なるニーズに対応できる体制を整えた。企業のニーズに応じた使い分けを提案できる点は、求人メディアの運営で培った実績を生かした戦略といえる。

photo ディップのAI・DX事業本部長 藤原彰二氏
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