全米小売業協会(NRF)は、2024年の返品総額が2023年を上回り、8900億ドルに達すると予測している。これは小売業者の年間売上高の16.9%を占めるとされる。これは、NRFと返品代行サービスの米Happy Returnsとの共同調査で分かった。
NRFの予測によると、返品問題は今年さらに深刻化するとみられる。昨年、小売業者は7430億ドル相当の返品を受け付けた一方、返品詐欺により1010億ドルの損失を被ったと報告されている。
NRFの報告によれば、小売業者の93%が詐欺や悪用行為が自社にとって大きな問題であると回答している。それにもかかわらず、小売業者の68%が今後6カ月間で返品プロセスの改善に注力する予定であると述べている。
Happy Returnsの共同創設者兼CEOであるデビッド・ソビー氏は「返品ポリシーは購入後の要素にとどまらず、若い世代の購買行動を初期段階から形成している」と述べている。ブランケティングや返品率の上昇といった行動は、従来の物流システムに負担を与えるため、小売業者はリバースロジスティクス(返品物流)の再構築を迫られているという。
さらに、ICSCの調査では、買い物客の82%が小売業者の返品ポリシーが購入決定に影響を与えると答えており、返品ポリシーが競争力を左右する要素となっていることが示されている。
返品は小売業者にとって大きな負担となる。Narvarの調査(2023年8月発表)では、オンライン購入者の約4人に1人が月に1回以上返品を行うと報告されており、52%が過去に少なくとも1回の詐欺的返品を行ったと認めている。
返品処理の費用は、配送費用やカスタマーサポート、製品の損傷などを含め、1件あたり25〜30ドルに達する。
こうした状況を受け、小売業者は返品に対応するためにさまざまな方法を取り入れている。
Amazonは同社のフルフィルメントサービスを利用する販売業者が、顧客が購入した商品を返品しなくても商品の返金を行えるプログラムを導入した。これは販売業者のコスト削減を狙った取り組みだ。
アウトドアグッズの販売チェーンREIは、同社の返品ポリシーを繰り返し悪用した少数の会員からの返品を今後受け付けないことを発表した。
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