また、こういう雑用を新人自らが積極的に行うことで、自分の存在をアピールできるというメリットもあります。「誰かがやらなくてはいけない仕事」である雑用を、まだそれほど忙しくない新人が肩代わりしてくれることで、職場の他のメンバーの負担が減ることになります。それは新人の存在価値を上げることにつながるので、より職場に参加しやすくなるのです。
さらに、雑用は新人に仕事を教えるための「対価」であるという説もあります。忙しい先輩にこれまで培ってきた技術や経験を教えてもらうためには、それに見合った対価を提供するということです。新人が雑用をしてくれるのであれば、「仕方ねーなー。教えてやるか」という感じです。
以上のように、雑用には新人に「適度な自信」をつけさせ、新人の「存在価値」を上げ、「仕事を教えてもらう対価」の提供にもなるというさまざまなメリットがあるので、ぜひ新人ができる雑用を考えてみてください。
1972年埼玉県生まれ。南ミシシッピー大学卒業後、二社での営業、講師経験を経て、2005年、研修会社ラーンウェルを設立。2010年、仕事をしながら東京大学大学院へ進学。「経営学習論」の中原研究室に参加。新人の組織適応やOJTについて研究。2013年、学際情報学修士号取得。企業研修での専門分野は「教え方」(現場でのOJTや社内講師の養成)。NBSオンライン講座「部下後輩が育つ!上手な仕事の教え方入門」、ダイヤモンド社「研修開発ラボ」等を担当。メーカー/インフラ/システム会社を中心に「メンター研修」や「中途社員の早期適応支援」を実施。家族と暮らす埼玉県比企郡ときがわ町では、仲間達と共に、地域のミニ起業家を支援。2017年より、比企起業大学を運営。主な著書に、『教え上手は、学ばせ上手』(クロスメディア・パブリッシング)、『これだけはおさえておきたい仕事の教え方』『対話型OJT(林博之氏との共著)』(日本能率協会マネジメントセンター)がある。
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