1000万円のDX投資が台無しに……「進捗管理」の誤解が招く悲劇「キレイごとナシ」のマネジメント論(3/4 ページ)

» 2025年01月31日 08時00分 公開
[横山信弘ITmedia]

1. 目標・タスクを明確化し、段階的に分解する

 「今期はこのぐらいの売り上げを達成しよう」と抽象的な指示をしても、部下は具体的に何をすればいいのか分からない。進捗を測ることもできない。

 まず、大きな目標を細かい単位に分解するのだ。

 「毎月この商品を5本売る」

 「新規のお客さまに毎週3件アプローチする」

 「既存のお客さまは四半期に1回は訪問する」

 このように、一つ一つのタスクを具体的に決めていく。とても重要なプロセスだが、これは進捗管理するための準備といえる。

進捗管理の本質を理解しよう

2. 可視化(見える化)を徹底する

 可視化(見える化)は、目標を達成するための「見取り図」と言ってもいい。空から見た地図のようなものだ。

 例えば、毎月商品を5本売るという目標を立てたとする。それを達成するために、

  • 今、誰に営業をかけているのか?
  • 商談はどこまで進んでいるのか?
  • 今月中に成約する可能性はどのぐらいあるのか?

 このように、一目で分かるようにすることが見える化である。これも進捗管理の準備段階だ。あくまでも仕組みを整備しているだけだからだ。

3. 定期的に振り返り・レビューを行う

 さて、ここからが本当の進捗管理のはじまりだ。月曜日の朝会で、

 「先週はどうだった?」

 「今週はどうするつもりだ?」

 「ここで手が止まっているのはなぜ?」

 このように、一つ一つ確認していく。このときに仕組みがあり、見える化されていると便利だ。正しい現状確認、レビューがしやすいからである。

4. 適切なコミュニケーションと早期エスカレーション

 現状を確認し、問題がありそうであれば、何らかの打ち手を考える。すぐ対処できる環境を作ることも、進捗管理の一部だ。

 最後の最後まで「なんとかなるはず」と思い込んでいる部下がいたらいけない。手遅れになる前にリカバリーする。

 問題が大きくなる前にマネジャーに報告・相談することを早期エスカレーションと呼ぶ。これも進捗管理において重要な取り組みだ。

5. 定量・定性の両面から進捗を評価し、柔軟に調整する

 私たちコンサルタントが陥りがちな問題だ。ついつい数字だけを見て判断してしまう。だが、数字で表すことができない情報も無視できない。お客さまの表情、部下の様子、市場の変化などの情報などだ。

 「確かに今月の売り上げは達成できそうもない。しかし、新しい商品に興味を持ってくれるお客さまが増えてきた」

 「明らかに感触が違います。まだ成果は出ていませんが、あと2カ月はこの方向性でいきたいです」

 このように、数字以外の情報も見ながら、柔軟に対応することも進捗管理には欠かせない。進捗管理とは、単なる数字の管理ではないのだ。

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