高額なシステムを入れて見える化をしただけでは、進捗管理は完了しない。
Plan(計画)とDo(実行)の部分を支援するのが、SFA/CRMといった情報システムの役割だ。しかしCheck(確認)とAction(改善)の部分は、システムだけではできない。
それでは、正しい進捗管理のやり方をまとめていこう。前述した通り、まずは以下3つのステップを頭にたたき込もう。
一つ一つ見ていこう。
まずは、現状を正しく把握することから始めよう。いわゆる「現状認識」である。
例えば、月間目標1000万円の売り上げに対して、今月20日の時点で400万円しか売り上げがないとする。
「このペースだと目標未達だな」
と過去の実績だけを確認するのではなく、
「残りの600万円のうち、どのぐらいが見込みとして残っているのか?」
「商談中の案件は全部でいくらあるのか?」
このように、過去だけでなく未来にも目を向けて現状を把握する。
次に、なぜ予定通り進んでいないのか? その問題の箇所(Where)を見つけよう。原因(Why)を追及すると、言い訳しか出てこない。それだと解決策は思いつかないものだ。
「提案前プロセスのコンバージョン率が低い。特に社歴の浅い4人の営業のコンバージョン率が、平均より20%低いです」
「見込み客の数そのものが足りないのです。昨年と比べると、一人あたり15社も足りません」
このように、具体的な数字とともに問題点を洗い出すのだ。そうすると、解決策も導きやすくなる。
そして最後に、具体的なアクションを決めていく。当然、問題の箇所によって対策はまるで違う。
提案前プロセスのコンバージョン率が低いなら――
「社歴の浅い営業を集めて、お客さまの課題をどうヒアリングするか、定期的な勉強会をしよう」
見込み客そのものが足りないならばこうだ。
「展示会など、イベント企画をてこ入れしよう。営業企画部と対策を練る」
このように、一つ一つアクションプランを練っていく。ネクストアクションが決まれば、次回の進捗会議で、どのような状況か、何が問題かを確認すればいい。
DX推進のために高額なシステムを導入しても、なぜうまくいかないのか? 理由は、マネジャー自身が進捗管理の本質を理解していないからだ。
進捗管理とは見える化することではなく、見える化したデータを使って適切な判断とアクションを起こすこと。世の中、DXやAIといったキーワードが溢れかえっている。しかし決して振り回されてはいけない。
情報システムはあくまでも道具でしかないのだ。本当の進捗管理ができる人材を育成することこそが、DX推進の第一歩といえるだろう。
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