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知らない「流行語」が増えていく現象、なぜ起こる?廣瀬涼「エンタメビジネス研究所」(1/2 ページ)

» 2025年02月06日 08時30分 公開
[廣瀬涼ITmedia]

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 全く聞いたことがない──そんな反応が多かった「ふてほど」が2024年の年間大賞に選ばれたことで、2024年の「ユーキャン新語・流行語大賞」は例年以上に注目されていたような気がする。

「不適切にもほどがある!」を略した「ふてほど」がユーキャン新・流行語大賞に選ばれた(画像:TBSテレビ提供)

 ある調査によると9割以上が「そんな言葉を知らない」と回答していたようで、そこまでいくと擁護のしようがないが、インターネット特にSNSが普及して以降、流行語やトレンドに関して「みんなが知っている」と大衆的に共感を得られるものを見つけることが難しくなっているのは確かだ。

 マスメディアがトレンドを生み出し、それを大衆が消費していた時代から、消費がより「個」のモノになっていったことで、人々は大衆を顧みた消費から、自身の趣味や興味を充足する消費にも重きを置くようになった。その過程でSNSは自身と同じ趣味や価値観を持つ人々を探し、その人々と同じ趣味を媒介にコミュニケーションを取ることを容易に実現させた。

 そのようなつながりは「界隈」と呼ばれ、残念ながら三省堂が発表する「今年の新語2024」において選外になったものの、筆者の肌感覚としては昨年に特に広まったと感じられる言葉である。

SNSによって流行語やトレンドが大衆的に共感を得られるものでなくなった(画像:ゲッティイメージズより)

 従来のトレンドは例えば「原宿発」「渋谷発」といった具合に特定の地域を拠点に全国に広がっていくパターンが多かったが、昨今ではSNS上にさまざまな界隈が存在し、大衆的には流行ってはいないがその界隈内で流行った言葉やトレンドがあり、そのような界隈ごとの流行が日本全体に点在しているような状態といえるだろう。

 一個人としては常にその界隈の情報(環境)に身を置いているので、そのようなトレンドが流行していると実感できるが、その界隈外の人が見ると「全く知らない」というマイクロトレンドで溢(あふ)れているのである。

 一方で、そのような界隈内での流行の域を出て、SNSユーザー全体が使うようなネットミーム化するモノや、現実社会(オフライン)でも使われるようになるネットミームが現れるようになる。併せて、例えテレビ発祥の言葉やコンテンツであっても、現実社会でその言葉やコンテンツが「人気のある」モノとして伝播していくよりも、SNSでそれが流行しているモノとして可視化される方が早く、SNSで流行(はや)っている「人気のあるモノ」として現実社会において再解釈され、現実社会で使われる(流行っているモノとして共有)ケースがほとんどだ。

 場合によってはテレビでのコンテンツ→SNSで流行る→現実社会でも流行る→テレビで取りあげられる、といったケースも散見される。

 ここまでをまとめると、昨今の流行には以下の4つのパターンがあるのではないか。

  1. 界隈内のみで流行っているモノ
  2. 界隈の域を出てネット全体で使われるようになるモノ
  3. ネットの域を出て現実社会でもコミュニケーションツールとして媒介されるモノ
  4. マスのコンテンツがネットで拡散され流行となり、現実社会で「SNSで流行しているモノ」として認知されるモノ
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