1本880万円のワインがある――。
「はあ? オレの年収は440万円。2年間汗水流して働いて、やっと買えるワインがあるのか」などと思われたかもしれないが、成田空港第1ターミナルの出国手続き後のエリアに、高級酒の専門店が登場し、そこで販売しているのだ。
店の名前は「THE LIQUOR NARITA AIRPORT」(以下、ザ・リカー)。成田空港のターミナルで免税店などを運営している「NAAリテイリング」(千葉県成田市)が2024年11月にオープンしたのだ。
ザ・リカーの売場面積は400平方メートルほど。ゆったりとしたスペースに、ワイン、ウイスキー、日本酒など360種類ほどのお酒を1万本近くそろえている。
外国人観光客が急増するなか、富裕層をターゲットにしてこの店を立ち上げたわけだが、個人的に気になっていることが2つある。1つは高級酒をどのようにして仕入れているのか、もう1つはそれをどのようにして販売しているのか、である。その謎を解く前に、このお店がオープンするまでの話を紹介しよう。
ザ・リカーが誕生する前、店舗スペースにどのような店があったのか。タバコやサングラスなどを扱う、いわゆる免税店を構えていたが、コロナ禍が長引いたこともあって、閉店に追い込まれた。社内で「次にどんなお店を始めようか?」といった話をしたとき、さまざまな意見が飛び交った。
「〇〇が売れそうだから、こんなお店はどうか」「いやいや、△△を扱う店のほうがいいのでは?」といったアイデアが出てきたが、独自性を感じられるものがなかった。成田空港のターミナルには、たくさんの店がひしめきあっていて、そこでさまざまな商品を扱っている。これまでの延長線で新しい店を構えても、たくさんある中のひとつの店になってしまう。
どこにでもあるような店ではなく、ここでしか買えない店を始められないか。こうした方向性で話を進めていくうちに「高価格のお酒を販売するのはどうか?」といった意見が出てきた。百貨店などで見たこともないモノを販売すれば、確かに目立つ。アイデアは面白かったが、いざ実行に移そうとすると、問題が出てきた。それはなにか。
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