店内に高額なお酒が並んだわけだが、それをどのように販売しているのだろうか。
NAAリテイリングにとって、高級酒専門店の運営は初めての試みであり、販売のノウハウがなかった。そんな中、白羽の矢が立ったのは、かつて一流ブティックで働いていた鵜澤(うざわ)希さんだった。
ショップマネージャーに抜てきされた彼女は、どのように対応しているのか。やはり、ターゲットは海外の富裕層である。店頭には10万円、20万円クラスだけでなく、100万円、200万円といったモノも並ぶ。こうしたお酒を購入するのは限られた層になるので、大々的なPRは行っていない。
では、どんな接客をして、認知を広げているのだろうか。高級酒を扱う以上、豊富な知識が求められる。……そう思われがちだが、鵜澤さんによると、それほど必要ではないという。もちろん基本的な知識は欠かせないが、商品の詳細については、むしろお客のほうが詳しいこともあるからだ。
それよりも重要なのは「雑談力」だという。これからどこに行くのか、どんなライフスタイルを送っているのか、どんなお酒が好きなのか。出発前の限られた時間のなかで、こうした会話を交わすわけだが、それは店内だけにとどまらない。お客が日本を離れたあとも、メールなどで仕事やプライベートの相談に乗って、少しずつ少しずつ「信頼」を築いていくそうだ。
それは単なる販売員とお客の関係ではなく、長く付き合える“パートナー”のような存在なのかもしれない。そうした関係が生まれることで、ターゲットの富裕層が何度も店を訪れるようになる。そして、彼ら・彼女らのコミュニティーの間で「成田空港に行けば、珍しいお酒を買えるよ」といったうわさがひろがり、新たなお客が増える。こうしたシナリオを描いているようだ。
なぜ若い人は「黒ラベル」を選ぶのか サッポロの“1人2杯まで”の店が示した、お客の行動変化
自分で淹れたら70円、店員が淹れたら700円 モンカフェが“変わった店”を営業しているワケ
ウイスキー蒸溜所「1万円ツアー」が盛況 サントリーが強気の値付けでも、満席が続く理由
えっ、売上比率はたった「1%」? それでもビールのミニ缶が40年も愛される理由Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング