高級酒をどのようにすれば、調達できるのか。この問題が立ちはだかったのだ。
記憶に残っている人も多いと思うが、欧米諸国は「コロナ禍から日常生活への移行」が早かった。商業施設には買い物客が戻り、飲食店はにぎわいを取り戻し、海外旅行も再開しつつあった。一方、日本では自粛ムードが続いていたこともあって、飲料メーカーの関心は欧米市場へと向かっていた。
高級酒は大量生産が難しく、流通量に限りがある。そのため、メーカー側も日常生活が戻り、経済活動が活発な国を優先して売っていた。
こうした状況が続くなかで、「日本の成田空港で販売したいのですが、取引をお願いできませんか?」と打診しても、なかなか相手にされなかったという。しかし、ザ・リカーの店内を見ると、たくさんのお酒が並んでいる。しかも、その多くが高価なモノばかりである。
どのようにして手に入れたのか。NAAリテイリングの大木寛之さんに聞くと「店内は百貨店のコスメ売場のように、8つのブースにわけました。この形態にすることで、お店の開業がぐっと前に進みました」という。どういうことか。
お酒のショップといえば、棚に各メーカーのブランドが混在しているイメージがある。だが、ザ・リカーの店内を見ると、「MACALLAN(マッカラン)」「REMY MARTIN(レミーマルタン)」「Hennessy(ヘネシー)」といったブランド名を掲げたブースが並んでいる。
競合商品の隣で自社のお酒を置いてもらうよりも、メーカーにとって自分たちの“居場所”があることは、大きなメリットを感じたようだ。販売スペースが確保できれば、売り上げが伸びる可能性がある。ブランドのPRにつながるかもしれないし、富裕層とのつながりが生まれるかもしれない。
メーカーの間で「ウチも出店しよう」「高級酒を用意しよう」という動きが広がり、出店計画が一気に前進したようだ。
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