本連載は、国際情勢やビジネス動向を深掘り、グローバルな課題とそれが企業に与える影響を分析する。米中関係やテクノロジー業界の変動、地政学的リスクに焦点を当て、複雑な要素を多角的に捉えながら、現代社会の重要な問題を分析。読者にとって成功への洞察を提供していく。
2025年1月、米国でAppleが提供している音声認識機能「Siri」をめぐる集団訴訟が示談で終わることがニュースになった。この裁判では、スマートフォンなどに搭載されているSiriが利用者の会話を無断で記録していることをAppleが認め、利用者に9500万ドル(約150億円)の和解金を支払うことで合意した(記録はSiriの性能向上が目的で、不正行為はなかったと同社は主張している)。
スマホやスマートウォッチなどのデジタルデバイスは今や、私たちの日常になくてはならないものになった。だが最近、便利になりすぎて怖いという声も聞く。
昨年、知人とタクシーに乗り、防衛省から歌舞伎町まで向かっていたときのことだ。何気なく知人に「新宿まで何分かかるかな」と質問したところ、知人が着用していたアップルウォッチがその会話を拾って、「新宿までは〜」と話し始めることがあった。
スマホなどがこうした周囲の音声だけでなく、通話内容を無断で拾って、それが広告などに使われているのではないかという疑惑は、これまでも都市伝説的に語られてきた。「さっき電話でお米が高いって話をしていたら、電話を切った後にSNSなどでお米の広告が出るようになった」といった話を、筆者もいろいろなところで耳にする。
実際にスマホが会話を盗み聞きし、その内容を広告に利用しているのか――。今回はこの謎をひもといてみたい。知的財産やプライバシーを意識する必要があるビジネスパーソンにも、ぜひその現実は知っておいてもらいたい。
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