加藤氏はUSJの開業から携わり、アトラクションの運営や飲食・物販事業、経営企画など、パーク運営の幅広い経験を積んできた人物。2010年にUSJに参画した森岡氏とともに、経営とオペレーションの両面から同パークのV字回復に貢献してきた。
2014年には沖縄進出の構想が表面化。那覇空港第2滑走路の建設決定を追い風に、本格的な検討が進められた。しかし2016年、親会社の方針転換により計画は白紙に。だが、加藤氏と森岡氏の沖縄への思いは消えることはなかった。
2017年、森岡氏が株式会社刀を設立。加藤氏も参画し、2018年にはジャパンエンターテイメントを立ち上げる。沖縄の持つ可能性、そしてテーマパーク事業を通じた地域活性化への確信は、地元企業の共感を呼び、大規模な資金調達へとつながっていった。
こうして長年温められてきた構想は、今、ついに実現の時を迎えようとしている。2025年1月28日の記者会見を終えた直後、加藤氏は当時を振り返った。
「2012年の夏、沖縄への出張を指示されたことから、この物語は始まっているんです」。記者会見直後の弊誌のインタビューで、加藤氏は当時を振り返った。沖縄進出のきっかけは、地元金融機関から「テーマパークを作るとしたらどんなことができるだろう」という意見交換の依頼を受けたことだったという。
当時、沖縄の観光客数は600万人まで落ち込んでいたものの、加藤氏は着実な成長を確信していた。その後の紆余曲折を経て、現在の土地に出会う。「今のジャングリアは、まずこの土地が決まって、そこでの体験価値をどう表すかというところからコンセプトを作っています」(加藤氏)
そして2018年の会社設立から約5年、360億円を超える資金調達に成功。「この事業がここまで支えられているのは、この事業に関与している人が、全員かなえたい目的をど真ん中にセットしたからです」と加藤氏は語る。その目的とは「沖縄から日本の未来を作る」という大義である。これに賛同した地元企業の出資が7割を超え、計画に共感した人材が県内外から集まった。
「あらゆる意思決定は全てこの大義に基づいてなされている」と加藤氏。さまざまな局面で困難に直面しても、必ず道は開けてきたという。「一つの企業の利益追求ではなく、皆が共感できる大義があるからこそ」と、自信を持って語った。
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