学習塾の倒産が相次ぐ中で、なぜ“業界のユニクロ”がじわじわ増えているのか(1/5 ページ)

» 2025年02月20日 08時00分 公開

 学習塾の倒産件数が2024年は53件と過去最多を記録するなど、業界の苦境は深刻さを増している(東京商工リサーチ調べ)。受験シーズンを直前に控えた2025年1月には、大手受験予備校「ニチガク」を運営する日本学力振興会(東京都新宿区)が破産申請したことも記憶に新しい。

 業界が「冬の時代」を迎える一方で、急成長を遂げている塾がある。コノセル(東京都新宿区)が運営する「コノ塾」だ。「学習塾版のユニクロ」をコンセプトに掲げ、創業から5年で91教室にまで拡大。教室長の採用倍率も10倍を超えるなど、注目を集めている。

photo 急成長を遂げている「コノ塾」とは(画像はコノセル提供。以下同)
photo コノ塾を運営するのは2020年に創業したコノセル

 コノ塾の特徴は、デジタル教材と個別指導を組み合わせたハイブリッド型であること。生徒ごとの学習データを活用した効率的な指導が評価され、2025年には100教室を超える見込みだ。

 代表の田辺理氏は、リクルートのオンライン学習サービス「スタディサプリ」の事業責任者を務めていた経験を持つ。なぜ、リアルな教室がある学習塾を始めたのか。

photo デジタル教材と個別指導を組み合わせる

 「デジタル教材は効率的な半面、膨大な情報から最適なものを見つけ出し、自ら継続的に学習する必要がある。結果として生徒任せになりがちで、勉強が苦手な生徒にはフォローアップが必要だと感じていた」と田辺氏は振り返る。

 さらに、学校や塾の教育現場にデジタル教材を提案していたが、既存のカリキュラムや教科書がある中で、新しいデジタル教材を取り入れてもらうのは容易ではなかったという。

photo 首都圏を中心に91教室を展開中(2025年2月現在)

 この経験から、デジタルの効率性とリアルな学習環境の両方が必要と考え、2020年1月にコノセルを創業。誰もが手の届く価格で質の高い教育を提供する新しい形の学習塾を目指した。

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