カスタマーサクセスは、企業が持続的に成長し、顧客との関係を深化させるための戦略としてSaaS企業を中心に浸透してきている。
しかし、コンサルティング会社のバーチャレクス・コンサルティング(東京都港区)が実施した調査から、経営者の78.6%が「カスタマーサクセスという言葉を聞いたことがない」と回答したことが分かった。
役職別でカスタマーサクセスに対する認知および理解を調査したところ、経営者の78.6%が「カスタマーサクセスという言葉を聞いたことがない」という結果となった。「理解している」と答えた人はわずか4.6%で、理解度が一番高かったのは執行役員・本部長・事業部長層で12.3%だった。
カスタマーサクセスの導入・運用は現場と経営の両面からの理解と推進が必要だが、まだトップ層の認知や現場スタッフへの浸透が十分とはいえない状況がうかがえる。
カスタマーサクセスの認知度は、その企業が取り扱う商材によって左右される可能性がある。「サブスクリプション型(サブスク)」商材の取り扱い有無別でその認知・理解割合を見たところ、サブスク商材の取り扱いがある層の20.1%はカスタマーサクセスをよく知っている反面、25.1%の人は「聞いたことがない」と回答。
サブスク商材の取り扱いがない層では「聞いたことがない」人の割合が82.4%で、理解している人はわずか1.1%という結果だった。カスタマーサクセスは顧客の継続利用・解約防止を重視するサブスクモデルと親和性が高いため、この差が生まれていると考えられる。
調査で「カスタマーサクセスという言葉を認知している」と回答した有職者(約1万2000人)に、勤務先でカスタマーサクセスに取り組んでいるか尋ねたところ、「取り組んでいる部署、または担当者がいる」と答えた人は49.5%と昨年から0.3ポイント減った。
取り組みの予定がある人は7.7%と昨年より1.2ポイント増加した。15.2%は「取り組む予定もない、かつ必要性を感じていない」との回答だった。
この結果を回答者の勤務先業種別に見たところ、取り組んでいる割合が一番大きかったのは「IT、デジタル関連」(58.8%)で、「製造・技術関連」が55.2%で続いた。それ以外については大きな差があるわけではなく、カスタマーサクセスは業界問わず一定数取り組まれていることが分かった。
調査は、全国20〜65歳の有職者(契約社員、派遣社員、パート・アルバイト、個人事業主・フリーランス、専業主婦・主夫、家事手伝い、学生を除く)を対象にインターネットで実施した。有効回答数は6万4138件で、期間は2月21〜26日。
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