仕事で「楽しい」と「面白い」は似た感覚を表している。だが本質は違う。「楽しい」とは、感情的な満足感や幸福感を指す。例えば、職場の人間関係が良好だったり、成功体験を共有したりするときに「楽しい」と感じるものだ。
「楽しい」≒「満足度が高い」
とシンプルに捉えてもいいだろう。
ちなみに仕事と遊びとでは、使うシチュエーションが違う。家族と休日に旅行へ行ったり、友人とお酒を飲んで味わう「楽しさ」と違うことは覚えておこう。
一方、「面白い」は知的好奇心や興味が刺激される感覚のこと。結果よりもプロセスや新たな発見に重きを置く。例えば、難しい課題を解決するプロセスや、新しい視点を得たときに「面白い」と感じるだろう。こういうケースの「面白い」は、英語の“interesting”に近い。
「面白さ」も同じだ。仕事と遊びとでは、かなり違う意味になる。友人のばかげた話を聞いて笑ったり、漫才を見て味わう「面白さ」とは違う。このケースの「面白い」は、英語の“funny”に近い。
「楽しい」は外的要因に影響されやすく、「面白い」は自分の姿勢や働きかけで感じられる違いがある。こういった違いをさらに深掘りしたい。
それでは、「楽しい」「面白い」に関して次の3つの切り口で違いを解説していこう。
それでは、一つ一つ解説していこう。
「楽しい」と感じるためには、結果が重要だ。例えばプロジェクトが成功し、その結果をチームと共有する瞬間が挙げられる。この瞬間、自己肯定感や達成感が上がって「やってよかった」「楽しかった」と思う。
一方「面白い」は、どちらかというと結果よりもプロセスそのもので味わう。結果にたどり着くまでの試行錯誤や、新しいアイデアを模索するプロセスで得られるのだ。
たとえ最終的な結果がイマイチでも、挑戦自体が刺激的であれば「興味深かった」「面白かった」という感情が芽生える。
次に即時性だ。先述したように「楽しい」という感覚はすぐに味わえない。「やりがい」という感覚と似ている。仕事で「楽しい」と感じるには、努力を続け、結果が見えはじめてからだ。もしくは目標を達成した瞬間や、周囲から称賛を受けた場面で感じる。
一方「面白い」は瞬間的な刺激として感じられる場合が多い。新しい情報や発見を得た瞬間、その場で「面白い」と感じることができる。
「面白い」のほうがスポット的なのだ。
最後に独立性だ。「楽しい」は、例えば仲間とともにスポーツの試合に勝利し、その喜びを共有するような体験で味わうことが多い。だから「楽しい」は外部環境や他者との関係に影響されやすい。
それに対して「面白い」は、難解なパズルを解く途中で得られる発見やアイデアのひらめきに似ている。「面白い」はより個人的な体験だ。他者との関わりがなくても成立する。自分自身の好奇心や工夫によって「面白い」と感じることができるのだ。
まとめると、次のようになる。
さて、「仕事を楽しみたい」と「仕事を面白いと思いたい」と聞いたら、多くの人は同じような意味合いだと思うだろう。しかし実は違う。どちらが難しいか? 断然「楽しむ」ほうだ。
仕事を楽しむためには、職場環境や人間関係といった外的要因が大きく関わる。心地よい職場や信頼できる人間関係がなければ「楽しい」と感じるのは難しい。
ここで冒頭の話に戻る。
新入社員が上司から「仕事を楽しめ」と言われたら悩んでしまう。なぜなら、どう楽しめばいいのか分からないからだ。自分一人で頑張ってもなかなか得られないため、自分を責めてしまうこともあるだろう。
このような新入社員は、次第に「この仕事は、自分には向いていないのではないか」と考え始めるはずだ。実際に、職場環境や仕事の特性によって「楽しい」を感じにくい状況があるにもかかわらず、それを個人の資質の問題と捉えてしまう若者は多い。
では、どうしたらいいのか?
「楽しさ」を求める前に「面白さ」を見つければいい。「楽しむ」ためには外的な条件が整っている必要があるが、「面白い」は自分の工夫次第で発見できる。
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