EVには、タワーマンションと共通する魅力と弱点が存在する。静かで高級感があり、ステータス性や新しさを感じさせるのは、非日常性に通じる刺激だろう。それも慣れると非日常感は薄れるが、快適さが日常になればストレスは少ない。
ところが、電気がなければ途端に不自由する。電気に頼りきりの利便性であることがEVとタワマンの問題点だ。それでも庶民の憧れである以上、タワマンの需要は維持されるであろう。しかし、EVはどうだろうか。
従来の感覚で新車を購入し、EVの快適性、動力性能には満足した上で3〜4年利用して、乗り換える時に下取り価格の低さにがくぜんとするEVオーナーが続出している。車種はもちろんのこと、地域性やクルマのコンディションの違いなどにより違いはある。
しかし、補助金による縛りのある4年間所有して下取りしてもらう場合、購入価格(車両代金や諸費用を含めた総額ではなく、車両価格から補助金額を差し引いた価格)の半値もいけばいい方で、3分の1程度というのも珍しくない。ドイツ車の残存価格は5年で大きく低下する傾向にあるが、最近はさらに下降気味であり、そのEVともなると、高級車であっても目も当てられない査定価格となることもある。
これは日本だけの傾向ではなく、海外でも同様のようだ。中にはたった1年で半値にまで低下してしまうケースもある。
EVのリセール性は総じて低い。それはバッテリーが車両価格の6割近くを占め、そのバッテリーの劣化が残存価値を決定する大きな要素になるからだ。
しかもガソリン車であれば、エンジンの調子や内外装のコンディションによって残存価値を判断できるのだが、EVの場合はバッテリーの劣化状況を判断しにくいことから、価値を低めに判断せざるを得ないのが実情なのである。
さらにEVを必要とする(EVを利用する環境が整っている)ユーザーは新車で購入し補助金を利用しており、中古車の需要がまだまだ少ない。それもリセール性が低くなりがちな理由だろう。
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