多くの企業が職場でのAIツールの導入・活用を進めているが、多くの従業員はその変化についていけない、または十分な研修を受けていないと感じている。米人材育成コンサルティング組織のAmerican Management Associationが3月19日に発表した報告書で明らかになった。
昨年と比較して、北米の企業ではAIの活用が進み、戦略の策定やガバナンスの導入が進展していることが報告書で明らかになった。しかし、従業員の57%が「AIの進化についていけていない」と感じており、研修を受けた人はわずか半数にとどまっている。
「多くの企業、あるいはほとんどの企業が、AIの可能性を認識し受け入れることで得られる絶大な機会を理解しています」と、American Management Associationの社長兼CEOであるマニー・アヴラミディス氏は声明を出した。「従業員の研修に投資し、戦略的なAI計画を策定する企業は、競争優位性を獲得し、イノベーションを推進し、業務効率を向上させる可能性が高いのです」
2023年の時点では、北米のほとんどの企業が職場でAIツールを導入しておらず、その準備も整っていなかったことが、過去の調査で明らかになっている。しかし、2024年末には、調査回答者の自信が高まっているようだと、同協会は述べている。
例えば、2024年12月に実施された調査では、従業員、管理職、上級幹部を含む1100人の回答者のうち63%が、「管理職がAIを公正かつ透明性をもって使用することを信頼している」と答えた。これは、以前の調査での約34%から大幅に増加している。特に、AIのガバナンスと管理に関する戦略を持つ企業では、従業員の信頼がより高まっていることが明らかになった。
しかし、より戦略的な研修計画が必要であることも明らかになった。調査によると、回答者の約44%が「AIツールが統一された方針なしに使用されている」と回答し、AIに関する研修を受けた人は半数未満にとどまった。また、従業員はAIを効果的に活用するために、問題解決能力、コミュニケーション能力、分析力、批判的思考力といったソフトスキルが必要だと考えていることも分かった。
報告書は、小規模な導入から始めることが重要だとしている。例えば、AIツールを活用してチーム内でブレインストーミングやコラボレーションを行うことで、新しい技術に対するプレッシャーや不安を和らげられる。
「トレーニングは不可欠だが、それが継続的なプロセスであることを忘れてはならない」とアブラミディス氏は話す。「学んだことを実践する機会が必要であり、そうすることで、学習が日常生活に与える影響を知ることができる」
TalentLMSのレポートによると、労働者の約半数が、AIは会社の教育能力よりも早く進歩すると考えている。彼らは、AIツールの使用やトレーニングプログラムに関する「明確なガイドラインの欠如」を指摘しており、特にトレーニングプログラムの提供スピードを上げることで「大幅に改善できる」としている。
ピュー・リサーチ・センターのレポートによると、労働者の半数は過去1年間に特別なトレーニングを受けたものの、AIツールやテクノロジーについて学んだ人はほとんどいなかった。回答者の3分の1以上が、AIスキルは労働者にとって「非常に重要」または「非常に重要」と答えているが、コミュニケーションや批判的思考といったソフトスキルの方がはるかに上位にランクされている。
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