米国では、文具チェーン大手の店舗閉鎖や経営破綻が相次ぐ一方、個人経営の小規模な文具店が根強い人気を集めています。手書きによる表現やアナログなコミュニケーションを大切にしたい――という消費者の思いが、こうした独立系店舗を支えているようです。
このトレンドの背景には、品質へのこだわりがあり、中でも日本製のノートやペンは、使い心地やデザインの精緻さが評価され、現地の小売店にとって欠かせない存在となっています。店主らは、日本やドイツといった製造技術に優れた国から文具を厳選して仕入れ、地元コミュニティーとの対話を重ねながら販売しています。
デジタル化が進む現代、なぜアナログ文具の需要が高まり、日本の文房具が選ばれているのか――。米ビジネスメディア「Retail Dive」のレポートを紹介します。
アナログなコミュニケーション手段は、決して過去の遺物ではない。米国のインディーズ系文具ブランドは、特別な文房具を求めて海外に目を向けてきた顧客層を取り込みつつある。
日常のあらゆる面にデジタル化が浸透している現代において、「紙とペンを売る」など時代遅れのようにも思えるかもしれない。
しかし、物理的なコミュニケーション手段は完全に消えたわけではない。大手ブランドの中には店舗閉鎖や破産申請に追い込まれるケースもあるが、ステーショナリー市場は依然として存在している。例えば、Papyrus(パピルス)やPaper Source(ペーパーソース)といった企業はその代表例だ。
小規模な小売業者の多くは、人工知能でさえ模倣しきれない「紙とペンの魅力」を販売することに情熱を注いでいる。ドイツや日本といった海外には、米国の消費者から高く評価されるステーショナリー製品が数多く存在する。
カラフルな和紙テープ(マスキングテープ)、カスタマイズ可能な手帳、ユニークな付箋などが人気であり、これらを購入する人々はアナログな筆記や表現手段を今なお日常的に取り入れている。こうした傾向を追い風に、米国内の独立系ブランド創業者たちは、それぞれのクラフトへの情熱をもとにビジネスを展開している。
文具業界の有名な小売業者やブランドには、Papyrus、Paper Source、Papier(パピエ)などがあるが、近年さまざまな困難に直面している。
Papyrusは2020年、米国内の全店舗を閉鎖した。同社の経営陣はその際、「現在の小売業界が直面する課題」を理由に挙げた。Paper Sourceも2021年に連邦破産法第11章の適用を申請している。
棚卸管理企業OnePint.aiのCEOであるデバダス・パタシル氏は、ホリデーシーズンへの依存体質が大手文具ブランドの弱点であると指摘している。
「それに対し、インディーズのショップは超個別対応や地域とのつながり、ユニークな製品セレクトを重視している」とし、「ワークショップ、限定コラボ、地元調達といった手法で顧客との直接的な関係を築いている」と述べた。
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