「寿司1カン2000円」「30万円の中華料理」 強気価格が目立つニセコ、現地自治体の苦悩とは(3/6 ページ)

» 2025年04月15日 05時30分 公開
[小林英介ITmedia]

まるで“異世界” 価格も景色も特殊な世界

 話を戻そう。JR倶知安駅に着いた筆者は、駅前で「ニセコバス」に乗車。バスは比羅夫を通り、リゾートホテルのヒルトンニセコビレッジ方面へと向かった。乗客は20人前後。日本人は筆者を含めて2〜3人のみで、他は全員外国人と見受けられた。スキー板やスノーボードを持っている。

倶知安駅からニセコバスに乗車

 ニセコバスの車内では、日本語と外国語の自動音声が長々と流れる。同社の自動音声装置などを製作する中央バス商事によると、製作している音声の種類は日本語と英語、中国語の3種類。「確認できるものでは、2005年ごろから運用を始めているとの記録がある。今のところ、国の数を増やす予定はない」(同社担当者)という。

倶知安にある、ゴミに関する外国人向けの看板

 また、ニセコバスによれば「乗務員への教育は特にしていないが、(外国人との会話を補助するための)指さし確認ボードを持たせてはいる。バスの増便は人手不足のため、したくてもできない」と回答し、肩を落としていた。

ニセコの風景。ここはまだ「日常」を感じる

 バスは坂を上り「比羅夫北」停留所を過ぎた。このエリアでは道道343号線に沿い、ホテルやペンションなどが立ち並んでいる。外国人観光客向けだろうか「インターナショナルクリニック」と書かれた病院があり、まばらだが飲食店もある。

 この辺りからキッチンカーの姿を多く見かけるようになる。時を同じくして、道路の両側にロッジが見えてきた。数でいえば7棟×3列ほどだろうか。

 「パノラマ ニセコ」と書かれた1泊10万円以上もする宿泊施設も見えてきた。とある宿泊予約サイトを見ると、ホテルやコンドミニアムの価格が10万〜20万円が当たり前。筆者はこの時点で「別世界に来た」と感じた。これまでバスで通ってきた風景とは全く違うもので、まるで日本ではない別の国に訪問したような感覚である。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

SaaS最新情報 by ITセレクトPR
あなたにおすすめの記事PR