最近、さまざまなメディアから「二重価格」について取材を受ける機会が増えています。二重価格とは、同じ商品・サービスに訪日客向け価格と国内居住者向け価格とを分けて設定する取り組みです。
世論を見ていると、「世界各国から観光客が来るようになった時代には二重価格は必要だ」という意見と、「日本がそんなセコいことしてどうするんだ」という意見とに大きく二分しているように見えます。
今後日本でも二重価格は増えていくのでしょうか。消費トレンドを追いかけ、小売り・サービス業のコンサルティングを30年以上にわたり続けているムガマエ代表の岩崎剛幸が分析していきます。
最近はどの街を歩いても、訪日外国人の姿を見かけることが増えてきました。渋谷などは最も外国人が多い街の一つではないでしょうか。スクランブル交差点にあるスターバックスは店内の半分以上が外国人というほど訪日外国人に人気の場所となっています。
日本政府観光局(JNTO)が発表した、1〜6月の訪日客数は同期間として過去最高の1777万人でした。何より注目なのは、コロナ前の2019年を上回ったことでしょう。2024年は6月まで4カ月連続で300万人を超えており、この勢いが続けば年間3500万人ほどの見込みです。
国・地域別では韓国からの訪日客がトップで、次いで中国、台湾、香港、タイとアジア圏からの旅行者が多いのですが、2024年は欧米など遠方からも増えているのが特徴です。日本文化への興味関心が高まっていることもありますが、何といっても今の円安メリットを感じて訪日している人が多いのだと思います。円安傾向が続くようであれば、ますます観光地としての日本の人気は高まっていくことでしょう。
観光庁によると、訪日客の増加に伴って消費額も増えています。4〜6月の訪日外国人消費額は2兆1370億円と四半期では過去最高です。1人当たりの支出額は23万9000円で、2019年同期と比べて5割以上増加しています。
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