これを機に、政府では全国の国立公園にリゾートホテルを誘致したり、地方空港の就航拡大をしたりと、インバウンドを通じた地方活性の取り組みを強化していくようです。
これらの施策は全国の消費を盛り上げる上で意味のある取り組みだと思いますが、新たな問題も浮上しています。オーバーツーリズム(観光公害)や、観光客によるマナー違反という問題です。観光客が増え過ぎて地元客がいつも行く飲食店に入れない、日常の足として利用しているバスに乗れない、富士山が良く見えるスポットだからとコンビニの周辺に人が集まり交通渋滞が起きるといった、さまざまな問題が生じています。
もちろん、政府や地方自治体もさまざまな対策を講じています。そして、その一つとして浮上してきたのが二重価格です。
二重価格は一般的には訪日客向けに高い価格を設定し、国内居住者や地元客を安くすることで、国内に居住して日常利用する人の利便性を妨げないようにする取り組みです。訪日客には高い価格設定となることが多いため負担が増えますが、それがハードルとなり、利用しない人が増えることで混雑対策につながったり、ある程度のマナー違反を抑えたりする効果もあるとされ、少しずつ二重価格設定へと動き出す企業や施設例が出ています。
しかし、この二重価格はさまざまなタイプのものが混在しているので、整理が必要です。
そもそも見方を変えると、日本にも二重価格に近いものは存在しています。次の図にある「学生や高齢者の割引」「繁忙期と閑散期の価格差」といったものが該当します。
定価がありつつ割引価格もあるスーパーや百貨店は、ある意味では毎日二重価格が出現しているといっても良いでしょう。二重価格自体は、さして珍しくない取り組みなのです。
一方で、昨今話題の二重価格は訪日客と国内居住者向けに価格を分けるものです。こちらは今まで、日本ではほとんど導入されてきませんでした。
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