迷走するトランプ関税 自動車業界で得をするのは誰なのか高根英幸 「クルマのミライ」(3/5 ページ)

» 2025年04月18日 09時08分 公開
[高根英幸ITmedia]

日本の自動車産業が直面してきた、米国との貿易摩擦

 日本においてもそれは同様で、これまでの自動車関税交渉の歴史が思い起こされる。日本の自動車メーカーは、オイルショックや排ガス規制を乗り越えた1980年代から米国市場でシェアを伸ばし始め、その結果、貿易摩擦が生じた。

日本の自動車メーカーで最初に米国に工場進出したのはホンダ。Honda of America Mfg(HAM)は1977年に設立、79年から稼働している。写真は2007年頃のHAM(写真:ホンダ)

 日本車が北米市場で人気を得ると、貿易摩擦により米国側からさまざまな要求が突き付けられ、その対策として現地生産を進めてきたという歴史がある。したがって、すでに日本の自動車産業は、米国内に生産拠点をいくつも持っている。

 日本自動車工業会(自工会)によれば、2024年末時点で、会員企業は米国内での製造に累計660億ドル(約9兆円)超を投資してきた。現在は、27州で24の製造工場、43の研究開発施設、70の物流拠点を運営し、11万人以上の米国内直接雇用を生み出し、経済波及効果も含めれば220万人以上の雇用を支えているという。

トヨタの米国工場進出は比較的遅く、1980年代初めからフォード、GMと合弁会社での生産を探っていた。時間をかけてGMとの合弁会社ニュー・ユナイテッド・モーター・マニュファクチャリング(NUMMI)を1984年に設立、作業員の教育なども念入りに行って生産を始めた(写真:New United Motor Manufacturing, Inc.)

 現地生産化は北米だけでなく、欧州でもASEANでも行われている。今や日本の自動車メーカーでも、多くは海外の方が生産比率が高いのである。

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