国内製造業における、工場デジタル化市場規模が拡大している。矢野経済研究所(東京都中野区)によると、2023年度の同市場規模は1兆7670億円(前年度比103.7%)だった。矢野経済研究所は「2023年度はコロナ禍による工場向けシステム投資案件の保留・見合わせが一段落した。予定していた案件が動き出したことなどが追い風になったのでは」と分析する。
国内のさまざまな工場で、生産設備の稼働監視や維持管理、検品といった工程において、クラウド、IoT、AIなどを活用した取り組みが進んでいる。矢野経済研究所によると、背景には2010年代後半から、製造装置や自動搬送機、製品自体にも当初から通信機能(IoT機能)が組み込まれ、稼働データや画像情報、位置情報などが収集・蓄積できる体制が整備されてきたことがあるという。
2024年度は、自動車を中心とした輸送用機械器具製造業での積極的な工場デジタル化投資や半導体工場の国内新設、外部環境変化に伴う「製造業の国内回帰」も追い風となっている。同年度下期からは、いわゆる”トランプリスク”が意識されはじめたが、製造現場全般ではデジタル活用が進展。矢野経済研究所は「2024年度の同市場規模は前年度比104.2%の1兆8420億円」を見込んでいる。
調査は2024年12月〜2025年3月、矢野経済研究所の専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・アンケートによる調査、文献調査にて実施。調査対象はITベンダー・SIer、機器・装置メーカー/機器・装置メーカー系の情報システム事業者、アプリケーションベンダーなど。
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